文字サイズ
自治体の皆さまへ

特集 ハート・デザイン 〜ユニバーサルマナーとこころのバリアフリー〜(1)

2/33

静岡県島田市

■迷い(まよい)Mayoi 問題意識と支援経験の不足

▽加齢や病気、事故などにより、誰もが社会のバリアに直面し、助けを必要とする立場になる。
多数を占める健常者に合わせた社会環境は、障害者にとって困りごとや生きづらさという障壁(バリア)を含んでいる。障壁の解消(バリアフリー)への取り組みは、社会の責務とする考え方を「障害の社会モデル」と呼ぶ。国が毎年実施している意識調査(※1)においては、94.2%の人がバリアフリーという言葉の意味を知っていると答えた。しかし、別の世論調査(※2)によれば、「こころのバリアフリー」を知らないと回答した人は61.9%だった。
仮に、日本の人口を100人に例えたならば、障害者は7.6人、ベビーカー利用者は2.0人、高齢者は28.9人(※3)となる。実に38人以上の人が、外出に不安を抱えていると言える。ハード(施設)は変えられなくても、ハート(行動)は今すぐ変えられる。困っている人に対する適切なサポート「ユニバーサルマナー」の実践は、それを具現化する。
市内では2014年、障害者のQOL(生活の質)向上の具体的な取り組みとして、島田市障がい者福祉連絡会が「バリアフリーてけてけ隊」を発足させた。例え各種事業所のバリアフリー環境が未整備でも、声掛けや気遣いで利用者を温かく迎え、対応できる。こころのバリアフリーへの賛同を呼び掛ける活動だ。障害者の外出が増えれば、健常者にとっては出会いとサポート経験が促される。
加齢や病気、事故などさまざまな出来事により、誰もが「生きづらさ」という社会のバリアに直面し、助けを必要とする立場になりうる。バリアの解消を自分事として捉えたなら、「ユニバーサルマナー」と「こころのバリアフリー」の見地から、私たちはどう備えどう行動できるのだろうか。

※1)令和3年度バリアフリー・ユニバーサルデザインに関する意識調査(内閣府)から「知っている」「どちらかといえば知っている」の合計
※2)令和2年度公共交通機関利用時の配慮に関する世論調査(内閣府)
※3)令和4年版厚生労働白書「100人でみた日本」(厚生労働省)/令和4年「我が国のこどもの数・人口推計から」0〜2歳児(総務省)

▽日本を100人の国に例えたら

■習い(ならい)Narai 共生の経験値を上げる学び

▽「何かお手伝いできることはありますか?」言えたらカッコイイですよね
垣内 俊哉(かきうちとしや)さん(大阪府大阪市)
株式会社ミライロ 代表取締役社長
幼少期から車いすに乗っていた私の夢は、歩くこと。だから、それが叶わないと知った時、絶望しかありませんでした。しかし、多くの人の支えを得る中で「歩けなくても出来ること」ではなく「歩けないからこそ出来ること」を探そうと決心しました。自分の視点・経験・感性を生かすことで、障害を価値に変えることができる。「バリアバリュー」は以来、私の軸となりました。
共生社会の実現には、自分とは違う誰かの視点に立ち、行動することが必要です。障害があるからこそ分かる「心遣い」として、我々は「ユニバーサルマナー」を提唱しています。困っている人に、一声掛ける勇気を持てないことがあります。それは、経験と知識と関心がないからでしょう。「ない」を克服し、すぐに実践できるマインドとアクションを習得してもらうため、2013年にユニバーサルマナー検定を創設しました。
すでに約15万人が習得し、サービス業はもちろん、誰一人取り残さない「まちづくり」という観点で、導入する商店街や自治体も増えています。たった2時間の3級講習で、9割の受講者が障害者や高齢者への向き合い方が変わったと実感しています。コミュニケーションの基礎を押さえれば、お互いに気持ち良く接することができるはずです。
一方で、当事者側にも、マナーは必要です。良心から掛けてくれた言葉を冷たくあしらえば、別の当事者への声掛けの機会を、失いかねません。また、謙遜して「すみません」と繰り返すほど、声掛けは迷惑という印象を与えてしまいます。まずは気持ちを受け取り「ありがとう」と伝えることが、大切なんだと思います。
今後、障害者の人権を守るための法律は、厳格化されていきます。でも「ルールがあるから」というマイナスな動機ではなく「カッコイイから」というポジティブな動機で行動を起こせる人を増やさなければ、障害者は特別扱いのままです。ユニバーサルマナーが担う役割は、誰もが「何かお手伝いできることはありますか?」とさりげなく口にできるようにすることです。
心遣いは特別な知識や技術ではないから、ユニバーサル「マナー」と名付けました。ビジネスマナーやテーブルマナーのように、身に付けば意識されない、そんな存在になるくらい、より多くの人に実践してほしいですね。

▽ユニバーサルマナー検定
ハード(施設)は変えられなくても、ハート(行動)は今すぐ変えられる。バリアフルな社会を変えるヒントとして、そして共生のマインドセット(思考パターン)として注目されている。障害のある当事者が、カリキュラム開発と講義を担当。3級から1級までを合わせた有資格者は、約15万人にのぼる。
600以上の企業・団体・自治体などが導入。接客スキル向上のためだけでなく、近年では教育機関において必修授業としても、取り入れられている。

3級:基本の心得を学ぶ。
2級:実践的なサポート方法を学ぶ。座学に加え、実技を通じて当事者の生活や心理状況を体験する。
1級:当事者の「リアル」に触れる体験を通して、受講者自身の価値観や世界観を広げる。

▽株式会社ミライロでは、ユニバーサルマナー検定以外にも、デジタル障害者手帳「ミライロID」や障害者モニターへのアンケート「ミライロ・リサーチ」など、社会のバリアフリー化に向けたさまざまなサービスを提供しています。
※ユニバーサルマナー検定の詳細やミライロの各種サービス内容などについては、QR(本紙掲載)からホームページで。

▽ユニバーサルマナー
適切なマインドとアクションを学ぶことで一声掛ける勇気を持てる
知識:支援の仕方が分から「ない」
経験:あまり接したことが「ない」
関心:素人に出来ると思え「ない」

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒104-0061 東京都中央区銀座3-4-1 大倉別館ビル5階

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU