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海のなかの妖(あや)しい世界へようこそ

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三重県鳥羽市

以前は未知の世界と思われた現象や場所も、現代では技術の進歩とともにさまざまなことが科学的に証明され、深度1万メートルを超える深海まで人の目が届きつつあります。しかし、かつて海中は陸上とは全く異なる神秘的な“異世界”として認識されており、人は海を舞台に、超自然的で人知の及ばない現象を起こす存在として妖怪や神仙を見いだし、数多くの伝承が生まれました。それは人々が海や自然そのものと日常的に接しながら、敬意と畏怖(いふ)を抱いてきたことのあらわれでもあります。
そう考えると、古くから漁業が盛んで、船の往来も活発に行われてきた鳥羽やその周辺は、海の妖怪が巣くうには絶好の場所であったと言えます。アワビを譲ると見せかけて、海女を海底深くに引きずり込むという“トモカヅキ”。その姿は、自分にそっくりであるとも、年配の海女の姿をしているとも言われ、背を向けて後ろ手にアワビを受け取れば逃げることができるという説もあります。
海で亡くなった人の霊が化けて出て、「柄杓(ひしゃく)をよこせ」と言われたら底を抜いて渡さないと海水を汲(く)み入れて船を沈められてしまうという船幽霊や、船にしがみついて沈めようとする大男・海坊主の伝承も各地にあります。貞享4年(1687)に発行された説話・奇談集「奇異雑談集(きいぞうだんしゅう)」では、伊勢から伊良湖半島へ渡る船が、途中で「入道鰐(わに)」という黒い身体の大男に襲われる説話が載っています。
ほかにも志摩半島では大わらじをつくってダイダラボッチを撃退した話、9人の海女が龍宮へ行って戻ってこなかった竜宮井戸の話、海女が竜宮から蚊帳(かや)入りの玉手箱を持ち帰った話(その蚊帳は伊雑宮(いざわのみや)に納められたとされています)、津市に伝わる阿漕(あこぎ)の平治、四日市~桑名の大ハマグリが見せる蜃気楼(しんきろう)、紀北町白浦の母子クジラの話など、県内にエリアを広げればさらに多くの妖怪伝承に触れることができます。
「妖怪」と聞くと、みなさんはどのような印象がありますか。人を呪ったり、食べてしまったりという恐ろしいイメージでしょうか。「妖怪ウォッチ」を見て、ユーモラスで身近なイメージをお持ちでしょうか。実はそれらはすべて正解であると言えます。妖怪は恐ろしい災厄をもたらすこともあれば、地域によっては神さまのように崇めて利益をもたらすこともあり、人間との関係性は複雑怪奇です。そして妖怪伝承は、生きものをとり尽くさない、漁が少なくても無理をしない、禁漁などの規則は必ず守るなど、人と自然とが共生してゆくための教訓を、我々に数多く伝えてくれる教材でもあります。
みなさんもぜひ海のなかの妖しい世界に首までどっぷり浸かって楽しみ、また自然との上手な付き合いかたなども学んでください。

■特別展「海のなかは妖怪ワールド」
トモカヅキや阿漕の平治など三重県の妖怪はもちろん、全国の海の妖怪伝説を通じて、海と人との戦いと共生の歴史を学んでいただくことができます。
展示予定資料:海女の魔除け道具、志摩市波切の大わらじ、平家の怨霊を描いた浮世絵、四日市まつり大入道のからくり ほか
会期:7月16日(土)~11月23日(水・祝)

▽付属イベント
(1)“悪魔のサカナ”タコをさわって食べる
欧米では「デビルフィッシュ(悪魔のサカナ)」とも称されるタコをさわって、さばいて、タコ焼きなどを作ります。
日時:8月7日(日)午前10時30分~午後1時
参加料:300円(入館料含む)
定員:15人(要事前申込)

(2)海の怪談night
プロ怪談師による、海にまつわる怪談や朗読をお楽しみください。
日時:8月20日(土)午後7時30分~8時30分
参加料:無料
定員:50人(要事前申込、空きがあれば当日参加も可)
出演:志月かなで(怪談師)

問合せ:市立海の博物館
【電話】32-6006

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