■感情を動かす経験を子どもたちに
佐川美術館
主任学芸員:馬場(ばば) まどか
子どものころに経験した、楽しかったり悲しかったり、感動した記憶を鮮明に覚えていたりしますよね。大人になって、同じことを経験してもそこまで記憶に残らないのは、感情が動く揺れ幅が子どもと大人で違うからかもしれません。
子どもは好奇心のかたまりですから、知らないことに対する発見、喜び、驚きのパワーは大人をはるかにしのぎます。人生経験がまだ浅い子どもたちにとっては、目の前にある一つ一つが真新しい発見の連続。全力で向き合うのだから、疲れ果てて早く寝てしまうのも納得がいきます。知らないことに出会った時の喜びや驚きといった、感情を動かす経験は子どもの成長につながるはずです。
しかし、ライフスタイルの変化もあり、子どもたちの感情を動かす機会が徐々に少なくなってきているような気がします。核家族化や共働きも増え、子どもたちにかけてあげる時間をなかなか取れないとお悩みの人も多いはずです。美術館では、そういった現状に寄り添えるような場を提供していきたいと考えています。
子どもたちが本来持つ〝感情を動かす力〟は本人しか育むことはできませんが、そういったきっかけを提供する場として美術館のような教育普及施設をはじめ、地域社会にも、その役割が求められているのではないでしょうか。
美術館では毎冬、お子さま向けの展示イベントを開催しているので、ぜひこうした場を活用いただければ幸いです。
※開館情報につきましては、ホームページでご確認いただくか【電話】〔585-7800〕でお問い合わせください。
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