10月25日(火)、ハワイ州から福岡県ゆかりの3偉人(元米国上院議員ダニエル・建・イノウエ氏、元ハワイ州知事ジョージ・アリヨシ氏、宇宙飛行士エリソン・オニヅカ氏)の家族や関係者が八女市を訪問しました。
福岡県とハワイ州は、1981年から姉妹都市提携を締結しています。今からさかのぼる事約140年前から多くの県民がハワイへ移住し、活躍してきました。とりわけ故ダニエル・イノウエ米国上院議員、ジョージ・アリヨシ元ハワイ州知事、故エリソン・オニヅカ宇宙飛行士の3人は、全米史に残る偉業を成し遂げた3人として知られています。その偉業をたたえるため、ハワイ州政府からレリーフ板等がゆかりの地へ贈られました。
八女市には胸像建設の一部として寄附金が贈られました。今回は、そのプロジェクトの関係者および3氏の家族が、10月24日(月)、25日(火)の両日、県内のゆかりの地を訪問し、それぞれの記念碑を訪ね、交流を深めました。
ハワイから訪問した10人(イノウエ氏の長男家族、アリヨシ氏の長男、オニヅカ氏の弟、ハワイ州議会議員、ハワイ福岡県人会、ハワイグローバル教育財団)は、24日に豊前市とうきは市を訪問。25日に八女市上陽町の「ホタルと石橋の里公園」に到着しました。
八女市では折り紙で作成したレイで歓迎し、イノウエ氏の孫娘マギーさんが胸像に同じレイをかけて初対面を祝いました。サプライズとして上陽北汭学園の5年生12人が英語の歌「カントリーロード」で歓迎し、ハワイからの訪問団は八女茶を味わいながらパフォーマンスを楽しみました。
その後、長男のケン・イノウエさんは、妻ジェシカさん、娘マギーさんとともに、井上家のお墓と家を訪問。ケンさんは「訪問することは長年の願いで、今日ようやく叶いました。美しい景色とそこに住む人々に会うことができて感動しています。父が訪問した同じ場所を歩いて、大変感慨深いです」と話しました。
イノウエ氏の胸像の周囲には、2015年にハナミズキイニシアチブで贈られたハナミズキ30本が植樹されています。公園では、ハワイからの訪問団を迎え、年代を経て受け継がれてきた思いが次世代へと繋がる交流が広がりました。
イノウエ氏は、平成24年北部九州豪雨災害に対して、お悔やみの声明を出すなど、祖父・父の故郷に対する思いを持ち続けていました。
八女市では、上陽町にルーツを持つ氏が、日米両国において政治・文化面で果たした多岐に渡る功績を後世に伝え、故郷の誇りとするために、今後もイノウエ氏の顕彰事業をはじめとして、ハワイとの交流を続けていきます。
■ダニエル・建・イノウエ(1924-2012)
[略歴]
アメリカ連邦議会上院議員。1924年9月7日ハワイ州ホノルル生まれ。祖父・父は八女郡横山村(現・八女市上陽町上横山)出身の日系2世。小さいころから祖父に、自分たちの故郷は横山村であること、先祖に誇りを持つこと、義務と名誉を大切にすることを教えられて育った。第2次世界大戦では、日系人で編成された「第442連隊戦闘団」に配属され、ヨーロッパ戦線で右腕を失うが、その働きにより数々の勲章を受章し、英雄とたたえられる。1962年、連邦上院議員に初当選。以後50年近く上院議員を務めた。2011年春の叙勲では外国人が受章する最高位の勲章「桐花大綬章」が日本政府から贈られる。2012年12月17日、88歳で永眠。(胸像台座の解説文より)
■ダニエル・建・イノウエ氏関連事業
(1)ハナミズキ・イニシアチブ(2012~2015)
1912年、日本は友好の印として、3000本のサクラをアメリカに寄贈しました。それから100周年を迎えたことを記念し、米国政府と日米交流財団が共同で「友好の木、ハナミズキ・イニシアチブ」を設立しています。サクラの返礼として、日本各地に3000本のハナミズキが贈られました。イノウエ氏のルーツが上陽町にあることから、八女市にはハナミズキ30本の寄贈を受けました。友好と平和のシンボルとして八女の地で花を咲かせています。
(2)ホノルル国際空港をダニエル・K・イノウエ国際空港へ改称
2017年、イノウエ氏の没後、その功績をたたえ、ハワイ州の玄関口ホノルル国際空港はダニエル・K・イノウエ国際空港と改称されました。ハワイでは他にも、道
路や戦艦などにイノウエ氏の名前が付けられており、八女市にルーツを持つハワイの英雄と言うことができます。
(3)上陽北汭学園児童生徒が在福岡米国領事館を訪問
2019年、上陽北汭学園の児童生徒会役員が在福岡米国領事館を訪問。ハワイ出身のジョイ・未知子・サクライ首席領事からリーダーシップについて、講義を受けました。大学時代にイノウエ氏の事務所で就業体験をした経験や、イノウエ氏から「誰も歩んだことのない道を敢(あ)えて歩き、『靴を汚すこと』が重要だと教わった」と言う話を聞きました。
(4)ホタルと石橋の里公園に胸像設置
イノウエ氏が、日米両国において政治・文化面で果たした多岐に渡る功績を後世に伝え、故郷の誇りとするために、2021年3月18日に氏の胸像を建立しました。
式典で来賓の在福岡米国領事館のテイラー首席領事は「祖国のためだけでなくルーツである日本との架け橋を築くために努力を注いだ偉大なアメリカ人」と氏をたたえました。建設にあたり、寄附金を募集したところ、国内外から総額200万円(7団体・61個人)の賛同をいただきました。
(5)上陽北汭学園とイノウエ氏の母校が姉妹校締結
2022年8月5日、ダニエル・イノウエ氏のルーツである上陽地区の上陽北汭学園と、イノウエ氏の出身校であるワシントンミドルスクール(ハワイ州ホノルル市で最も歴史のある公立中学校)。両校は1月からオンライン交流を始めており、今後さらに交流を深めていくことで合意し、姉妹校締結を行いました。
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