- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道伊達市
- 広報紙名 : 広報だて 2025年11月号
■第10回『大滝区でサツマイモの栽培実験』
札幌学院大学名誉教授 酒井 恵
真旧大滝村では、開村以来さまざまな農産物の生産に取り組み、村民の生活を支えて来ました。しかし、急速な農業環境の変化に伴って、農業生産からの離脱が激しく進みました。
近年その大滝区で、新たな「農業生産の実験的試み」が進められています。大滝区の農家も所属する洞爺湖農協が、令和6(2024)年から新入職員を中心に「大滝プロジェクトチーム」を編成し、「サツマイモ栽培の実証実験」を始めました。「サツマイモ」をテーマに、育苗、栽培管理、収穫、販売、商品開発、流通・消費までを射程に入れた「研究実践」に取り組み、その成果をベースに「胆振地域のサツマイモの主産地化の可能性」を探ろうとするプロジェクトです。
従来「サツマイモ」は、鹿児島や宮崎など九州が主産地で、その「北限」は茨城・福島とされ、北海道では育たないとされてきました。わずかに、昭和23(1948)年に60ha・70tの「生産記録」がありますが、戦後の食糧危機を補う「救荒作物」として限定栽培されたもので、食料の安定供給が進むと、その記録は途絶えます。しかし、近年の生産記録では、令和4(2022)年620t、令和5(2023)年1,270t、令和6年1,800t(予定)と拡大傾向が続いています。
「今、北海道にサツマイモブームが来ている」と関係者は期待しています。しかし、その原因が地球の温暖化であることを考えると、複雑な思いにさせられます。
問合せ:総務課総務係(市役所2階)
【電話】82-3162
