- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道倶知安町
- 広報紙名 : 広報くっちゃん 令和7(2025)年12月号
■風で転がる草ハナクサキビ 512回
広がる荒野、吹きすさぶ風、対峙する二人のガンマン、間をすり抜ける枯れ草の玉…。そんな西部劇映画で見るような枯れ草の玉ほど立派ではないものの、風に吹かれるモサモサした植物を晩秋の倶知安でも見かけたことはありませんか。
これはハナクサキビという北米原産のイネ科植物の円錐花序と呼ばれる穂の部分で、種子が成熟して乾燥すると付け根から折れて植物本体から外れます。円錐形の穂は風を受けやすく、よく転がりながら1.5ミリメートルほどの種子をまき散らします。
このような戦略を取る植物は「回転草(tumbleweed(タンブルウィード))」と総称されることもあります。
道端に転がるハナクサキビ。厳しい冬の訪れを告げているようです。
文:小田桐亮(倶知安風土館学芸員)
