- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道上砂川町
- 広報紙名 : 広報かみすながわ 2025年12月号
2025年12月第38号
■善悪二つの顔酸素だって同じ
上砂川町立診療所 小松正伸
人間の脳細胞は酸素が途絶えると、2分間で死んでしまいます。こんなに必要な酸素なのに、逆に体を傷つけることがある。これが“活性酸素”。私たちが空気から取り込んだ酸素の2~3%が、活性酸素に変わるとか。
過酸化水素(オキシフール)という消毒薬があります。傷に塗ると泡が出る、あのアワアワは殺菌力の強い活性酸素。私たちの体にウィルスや細菌が侵入したとき、白血球が活性酸素を作って退治してくれます。大切な活性酸素なのですが、あまりに多く作られると、体の正常な部分にまで害を及ぼします。たとえば激しい運動、タバコや排気ガスを吸った、強いストレス、大手術、放射線・紫外線や電磁波(パソコンや携帯など)を浴びた、多量の飲酒などでは、過剰に活性酸素が作られて正常な細胞を傷つけ、様々な病気や老化現象を引き起こすとされています。一説に、私たちの病気の9割以上は、活性酸素が関係しているそうです。1980年代、がんの原因は過剰な活性酸素によると報告されました。その後、心筋梗塞、脳卒中などの血管の病気や生活習慣病も、活性酸素により生じた過酸化脂質が原因、さらに老化、つまりシミ・しわや疲労感の最大の原因は活性酸素、結局なんでもかんでも活性酸素のせいだと。
体だって、活性酸素にやられっぱなしではいません。活性酸素が作られるのを抑え、傷ついたところを治す、「抗酸化作用」が体を守っています。この抗酸化作用を増すためには、上に述べた活性酸素を過剰に作らせる生活習慣をしないこと。タバコや大酒飲みなんかは、いまさら活性酸素を引っ張り出さなくても、健康に良いわけない。太陽の光にさらされて紫外線を多量に浴びると、老化が進むので特にお肌にはご用心です。
抗酸化作用を持つ物質がいろいろ知られていて、食品の中には多く含まれているものがあります。てな話になると、すぐに健康食品(サプリメント)業者が食らいついてきて、テレビなどで「がんを予防する」「老化を防ぐ」などと宣伝し始める。なにもサプリに頼らなくても、ふつうに食べていれば抗酸化物質は取れるのに。逆に抗酸化物質が過剰になれば、体内で殺菌に働いている活性酸素とのバランスが崩れてしまう。若返りのサプリなんて、効くわけない。
抗酸化作用を持つ食品としてはまずカロテノイド、これは緑黄色野菜、果実、海藻、魚などに、多く含まれています。ビタミンCやEにも抗酸化作用の働きが認められています。ワインに含まれるポリフェノール、これはお茶や紅茶にも多くあり、過酸化脂質を減らすなど、広く抗酸化の働きをします。
人間は酸素が無ければ困る、けれど活性酸素は多ければ困る。酸素を吸って生きている以上、活性酸素の害は避けられない。食事などの生活習慣を、まずは整える、さぁ、ニンジンを毎日かじりましょう、来年の干支はひのえ馬。
★「ミーナの募金箱」診療所受付前にある募金箱のお金を、北海道盲導犬協会へ届けました。前回分と合わせて8万9,703円になりました。盲導犬1頭を育てるにはまだ少ないので、これからも皆さんの支援をお願いいたします。
☆12月診察日 4日(木)、11日(木)は代診の医師が診療します。
小松医師も時々出てくる予定です。診療所へ電話でご確認ください。
