- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道幌延町
- 広報紙名 : ほろのべの窓 令和7年6月号 No.728
国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター
モグ太くん:「モグ太」です。今回は、令和7年度の調査研究計画について紹介します。
■令和7年度の計画
幌延深地層研究センターが「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で取り組んできた必須の課題のうち、多くの課題が令和6年度までに当初の目標を達成しました。そのため、令和7年度以降は主に「坑道スケール~ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化」という課題に取り組みます。なお、「坑道スケール」とは、実際の処分場において多くの坑道が地下深くに掘削される際に、それらの配置を検討するために必要となる、数百メートル程度を指し、「ピットスケール」とは、廃棄体および人工バリアを垂直に設置する場合に坑道の床面から掘削されるピットの配置を検討するために必要な数十メートル程度の範囲を指します。
この体系化の課題は、これまで取り組んできた個別の課題で得られた成果を統合、整理し、「実際の処分場を建設する際に、地下深部で坑道や処分ピットなどを掘削する場合、どのような考え方の下に坑道やピットを配置するか、どのように人工バリアを設置するのか、さらに人工バリアや周辺岩盤の閉じ込め性能をどのように評価するのか」といった調査研究を進めます。
いくつか例を挙げると、深度500mの試験坑道8および試験坑道9の掘削前に行った先行ボーリング調査で、坑道周辺の岩石の強度などのデータを取得したり、試験坑道8の掘削前後に試験坑道9から掘削した調査孔を用いた*トモグラフィ調査を通じて、坑道を掘削することにより生じる影響が及ぶ範囲がどの程度かなどを把握したりします。また、深度350mの試験坑道6で計画している坑道の埋め戻しおよび止水プラグの設置について、設計を行うとともに原位置試験のレイアウトなどの計画検討などを進めます。
*トモグラフィ調査:調査対象範囲内の振動や電気の伝わり方等を計測して、岩盤内部を可視化する物理探査手法
さらに、坑道掘削に伴う湧水量の観測を行い、これまでの解析で予測した湧水量と比較し、湧水量が予測された範囲内に収まるかどうかを確認します。
令和4年度から実施している「幌延国際共同プロジェクト」については、令和7年度から、フェーズ2の研究に着手し、設定した3つのタスク(タスクA:物質移行試験、タスクB:処分技術の実証と体系化、タスクC:実規模の人工バリアシステム解体試験)に取り組みます。
■地下施設の整備
令和5年度から、深度500mに向けた掘削を再開し、令和6年度には東立坑と換気立坑が深度500mに到達しました。また、深度500mで東立坑と換気立坑を結ぶ調査坑道が令和7年2月18日に貫通しました。
令和7年度は引き続き、西立坑および500m調査坑道の掘削を継続し、令和7年度末までに施設の整備を完了する予定です。
■ゆめ地創館最新NEWS
ゆめ地創館に、4月から新たな地下施設模型を設置しました。この模型は、坑道掘削や調査研究で確認できた「岩盤の割れ目」をLEDで坑道に投影できたり、QRコードを読み込むと地下施設の坑道の中を360度見回すことができたりします。さらに、立坑最深部に設置している「スカフォード」と呼ばれる移動式足場や、「切羽(きりは)」と呼ばれる掘削作業の最前線も見られます!!
ぜひ、ゆめ地創館へ来館いただき、従来から設置している地下施設のリアルタイムモニタと併せて、地下の世界をご覧ください。
写真は本紙をご覧ください。
広報・調査等交付金事業
問合せ:
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター【電話・告知端末機】5-2022 【HP】https://www.jaea.go.jp/04/horonobe/
ゆめ地創館【電話・告知端末機】5-2772 【HP】https://www.jaea.go.jp/04/horonobe/yumechisoukan/index.html