子育て 「育つ・育てる」の まんなか(1)

◆児童養育相談センター『もこもこ』リニューアルオープン
立つ、しゃべる、食べる、遊ぶ。何もかもが初めての子どもと同じように、一人ひとりちがう子どもを育てる親もまた「お父さん・お母さん初心者」です。児童養育相談センターでは、「親子で共に育つこと」を大切に、垣根のない、切れ目のない支援で育児の不安を解消するお手伝いをしています。

さまざまな方が混ざりながら仲間となって、子どもたちの育ちを支えていける場所、そして地域の皆さんに愛着を持っていただける施設になってほしいという願いを込めて「もこもこ」と名付けられリニューアルオープンした児童養育相談センターは、児童の発達支援はもちろん、障がいの有無に関わらず安心して子育てができるよう、親子を見守り、サポートする「育つ・育てる」の拠点です。
これまで町内2か所で運営されていた施設を集約し、新しく建てられたセンターは、道産木材を使用した温かみのある開放的な遊戯室をメインに、人工芝の園庭、個別支援が行える5つの支援室、多目的に使えるデイルームのほか、光や音を利用し、子どももリラックスして過ごせる個室「スヌーズレン室」などを取り入れ、より充実した養育ができる施設となっています。

◎火・水・木曜日の10:00~11:30は出入り自由な「子育てのひろば」を開催。乳幼児期の子どもを遊ばせながら、心配事の相談も可能です。

《5/1リニューアルオープン》

▽遊具
さまざまな形の遊具で楽しく遊びながら、体力やバランス感覚を身につけることができます。

▽スヌーズレン室
オランダ発祥のスヌーズレンは、光や音などのやさしい感覚刺激で気持ちを落ち着かせることができます。

▽玄関ホール・廊下
広々とした玄関と廊下は全てバリアフリー仕様。車いすでの移動はもちろん、落ち着いて上着の着脱ができます。

◆職員の声~一人ひとりに合った育ちを一緒に探す~
児童養育相談センターの野呂先生、佐々木先生に、センターでの取り組みなどについて伺いました。

▼児童養育相談センターではどのようなことを行っていますか?
▽野呂先生
広くいうと子育て支援を行っています。これはお子さんへの直接的な支援だけではなく、親御さんへの支援も含まれています。具体的には、お子さんの心配な点や成長についての相談を受けることが多いです。直接相談に来る方もいれば、電話で相談される方もいます。電話の場合は、一度概要を聞いた後に来所していただいて、直接お会いしてゆっくりとお話をできるようにしています。
また、保健師さんや幼稚園・保育所・学校の先生からつないでいただいて相談を受けるほか、幼児・学齢期ともに、親御さんから発達検査・知能検査の相談などを受けることもあります。相談を受けた後、必要な場合は福祉の手続きを踏んで、通園や直接支援に移り、親御さんとお話ししながら、その子に合ったアプローチをしていきます。例えば、気持ち・感情面へのアプローチ、感覚・運動面へのアプローチ、対人面・社会性へのアプローチなど、その方法は多岐にわたります。
また、センター利用時は親子で来てもらっています。私たちはお子さんとの関わりを通して関係性を築いたり、より良い関わり方を見つけたりしています。それと同時に親御さんにもお子さんのことを理解しながら関わり方の手がかりを一緒に見つけていただけたらと思っています。
▽佐々木先生
ここは、お子さんの成長にとって良い経験や人との良い関係性作りができる場であってほしいなと思っています。私たちだけでできることはそんなに多くはありませんが、ここで得た経験を家に持ち帰ったり、地域の人や関係機関の先生方とも経験を積み重ねたりすることで、その子にとって良いものが生まれてくるんじゃないかと期待しています。
▽野呂先生
学校や幼稚園に出向いて、子どもたちの様子を見ながら先生方とアプローチの仕方を考えることもあります。実際、通園による直接支援で対応できる人数や時間は限られるため、学校などと相互に連携して取り組むのはとても大切で、先生方を通して子どもたちの行動や状況が良い方向に変わっていけば良いなと思っています。

▼5月1日のオープニングセレモニーの中で「子育てに関する情報が多くて不安になる」というお話をしていましたが、実際にSNSなどネットの情報を見て相談に来る方はいますか?
▽野呂先生
います。SNSの普及で手軽に子育て相談や情報収集ができるようになりましたが、情報がありすぎると、どれを信じていいか分からなくなります。ネットに書いてある「誰か」のお母さんの話は、自分の子にとっての答えじゃないかもしれない。不安や悩みを解決したくて見た情報で、他の子と自分の子を比較しても悩みの種が増えてしまうかもしれません。そうであれば、ぜひ私たちに聞いて、お子さんについての不安な気持ちを軽くしていただけたらと思います。
▽佐々木先生
最近は核家族化が進んでいるほか、この町は転勤族が多いこともあり、身近な支援者・相談者がいなくて不安を感じている親御さんも多いのかなと思います。そういったときにネット検索だとすぐに答えが出てきて安心できるのかもしれませんが、お子さんに合わせたオーダーメイドの答えではないので、それが合致することもあればしないこともあります。その合致しないときの不安や気になることをここで話して安心を得て帰っていただきたいです。

▼これからセンターを利用する方に伝えたいことは?
▽野呂先生
小さい頃から利用できる『ひろば事業』も開設日を増やしました。お子さんが大きくなってからも「遊びに行ったことがある場所」といった感じで気軽に利用・相談していただけたらと思います。
▽佐々木先生
一度相談に来たら継続して相談しないといけないのか、通園しないといけないのかと思い相談に踏み切れない方もいるかもしれませんが、そんなことはなくて、ちょっと気になることや一時的な悩みをその場で解決・解消して、親も子もすくすく成長できる、安心して過ごしていけるならそれで良いと思っています。なのでためらわずここに来て、相談してほしいです。
▽野呂先生
同感です。お子さん一人ひとりの育ちに必要なものを一緒に探していくので、気軽に私たちを頼ってください。

◎公認心理師・保育士・児童指導員・言語聴覚士など、ケアや子育ての専門家がみなさんの「育ち」をサポートします