- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県鹿沼市
- 広報紙名 : 広報かぬま 2026年1月号(NO.1304)
■友好都市・東京都墨田区
鹿沼市と東京都墨田区は、旧粟野町に開設された墨田区の校外学習施設「あわの自然学園」が開設されたことをきっかけに交流が始まり、鹿沼市と粟野町の合併後、平成24年10月にあらためて友好都市提携を結びました。互いのまちを紹介する広報紙面交換企画も、今年で8回目を迎えます。
今年は、ものづくりの現場をそのまま展示した「すみだ小さな博物館」を3カ所巡り、本物の手仕事に触れてきました。
(1)江戸表具博物館
最初に訪れた江戸表具博物館では、表具師である前川治さんにお話を聞きました。
●表具師の仕事とはどんなものですか
表具とは、布や紙などを貼って巻物、掛け軸、襖や屏風などに仕立てることを言います。表具師はものを作成したら終わりではなく、張り替えや修復なども行います。
例えば、襖は6工程の作業があり、全部紙の断ち方や糊のつけ方が違います。そうすることで、強度がでて100年先まで使用できます。
以前、120年前の襖の張り替えを行いました。上張り(一番上の紙)を剥がすと、まるで今作製したかのような状態。昔から続く丁寧な作業で作られたものは、素晴らしいと感動しました。
●仕立てる上で心がけていることは何ですか
作るときに気を遣うのは当たり前。どう仕上げたら、お客さんに喜んで頂けるか考えます。
「何色が好きですか」と直接伺うこともありますが、会話や着ている着物の色などで好きなものを把握しています。掛け軸だと、壁の色も聞きますし、茶道の先生だったら流派を確認します。相手の好みにあったものができ「よくできたね」と言われるとうれしいですね。
伝統工芸の普及と継承にも取り組んでいて、小学校でも講座を行っています。伝統の技術を知ってもらうことも大切ですが、古いものを修復して使っていくことから「物を大切にすること」を学んでもらえるといいなと思っています。
・前川表具店
前川 治 さん
墨田区千歳三丁目5-11
【電話】03-3631-0508
営業時間:午前10時~午後4時(要予約)
不定休 11月下旬から翌1月中旬まで休館
(2)江戸木目込人形博物館
続いて訪れた江戸木目込人形博物館。代々続く六代目の木目込人形職人である、塚田進さんにお話を聞きました。
●江戸木目込人形とはどんな人形でしょうか
土台に細い溝が切ってあって、その溝に布を押し込んでいくのが木目込人形です。表面には糊を付けず、溝の中にだけ水で溶いた糊を流しておいて、そこへ布をぎゅっと差し込む。布を「木目込む」ところから名がつきました。干支にちなんだものから雛人形などさまざまな形を製作しています。
人形の大きさも時代により変化していて、昔の雛人形は大きな段飾りが主流でしたが、今はマンション住まいの方も増えたため、小さな形が好まれるようになっています。墨田区にちなんだ力士の木目込人形などもあり、外国の方にとても人気です。
●塚田工房で製作している雛人形の特徴は?
うちの雛人形は一般的な人形用の裂(きれ)ではなく、明治時代までの「江戸ちりめん」とよばれる、昔の女性が着ていた着物の裂(きれ)を使用しています。これらは、落ちついた色合いや柄であるため飽きない人形となりますし、裂きれの中から一点一点人形に合う柄を見つけているので同じ人形はありません。
木目込人形職人は、一人前になるまで長い時間がかかるため、後継者の育成は大きな課題。今は息子と二人三脚でやっていて新しい感覚を補ってくれています。これからも、次世代につながる「ものづくり」に取り組んでいきたいですね。
・江戸木目込人形 塚田工房
塚田 進さん
塚田さんは栃木にゆかりがあり、日光市高徳で5年ほど修行されていたとのこと
墨田区向島二丁目11-7
【電話】03-3622-4579
営業時間:午前10時~午後5時(要予約)
日曜・祝日休
博物館は12月15日から翌3月15日まで休館
【HP】edokimekomi.com
(3)ちいさな硝子の本の博物館
最後に訪れた、ちいさな硝子(ガラス)の本の博物館。村松栄理さんにお話を聞きました。
●「ちいさな硝子の本の博物館」はどんな場所ですか
父が経営していた「松徳硝子」の工場の隣で、職人が学べるよう全国から集めた本や資料を置いた展示室が始まりです。約900冊の硝子に関する技術書や写真集を引継ぎ、展示室の閉鎖を経て2011年に私が販売と展示をかねて開きました。
●硝子彫り体験を始めたきっかけは
硝子彫り体験は、お店を知ってもらうために始めました。近くの工場で職人が手づくりした器やグラスなどに、文字や模様を刻んで「自分だけの記念品」を作ることができます。墨田区に足を運んだ方の旅の思い出になるとともに、墨田区が硝子のまちと知るきっかけになればと思っています。
・松徳硝子株式会社
村松 栄理さん
墨田区吾妻橋一丁目19-8 矢崎ビル1階
【電話】03-6240-4065
営業時間:午前10時~午後7時(火曜午前11時~午後6時)(体験は要予約)
月曜休(他不定休あり)
【HP】glassbook.shop-pro.jp
●硝子彫りワークショップを体験!
鹿沼のいちごを彫りました。勢いが大切です!

3つの小さな博物館には、暮らしの傍らでものづくりを続けてきた人々の知恵と工夫が詰まっていました。墨田区内には、全部で25館もの多彩な「すみだ小さな博物館」が点在しています。ものづくりの歴史と今を感じに、ぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか。
