健康 健康 健やかで安心して暮らしていくために-医療メモ-

■中年女性のヘルスケア―月経困難症・PMSのホルモン治療と避妊用ピル―
本庄市児玉郡医師会広報部
更年期の少し手前、40歳前後から50歳くらいまでの中年期になると、女性ホルモンの分泌が不安定になってきます。このため、月経不順、月経痛、経血量の増加、月経前のイライラや体調不良(月経前症候群:PMS)などを感じやすくなります。一方で妊娠の可能性もまだ残るため、出産を望まない場合には避妊にも注意する必要があります。今回は、この年代の女性に適するホルモン治療と避妊法について説明します。
月経痛やPMSの治療で最も使われるのが治療用のピルです。いわゆるピルは、女性ホルモンの中心であるエストロゲンと、排卵を抑えたり子宮内膜を安定させたりするプロゲスチンを組み合わせた薬です。ピルを服用することで、月経にかかわる症状の軽減と避妊の効果の両方が得られます。副作用として、吐き気、頭痛、血栓症などがあります。重い頭痛持ちの方、喫煙者、40歳以上の方などでは、特に血栓症のリスクが高まるため、ピルが適さない場合があります。そこで次の選択肢となるのが、プロゲスチン単独の薬です。ピルにみられる副作用が少ないため安心して使える方が多く、人によってはピルよりも効果的なこともあります。
また、内服薬以外の治療法として「ミレーナ」というプロゲスチンを含んだ小さな器具を子宮内に挿入する方法があります。ピルと同じように月経痛などの症状と避妊にとても有効です。さらに子宮に直接薬が届くため全身への副作用はほとんどありません。挿入時の痛み、挿入後のおりものや不正出血などの副作用がありますが、軽く済む方が多いです。出産経験のない方や子宮筋腫などで子宮の形が変化している方では使用できない場合もありますが、多くの中年女性に適した治療法です。
避妊を目的とする場合には、避妊用のピルを服用する、または避妊目的として「ミレーナ」を挿入するなどができます。避妊目的の場合には自費診療になります。それぞれの副作用は前述と同じです。副作用を心配してピルを控えた結果、計画外に妊娠してしまうことは防がなければなりません。最近では、副作用の少ない避妊薬として「スリンダ錠」が使用できるようになりました。これはプロゲスチンのみを含む薬で、ミニピルとも呼ばれます。不正出血や月経不順がやや起きやすいですが、そのほかの副作用が少ないのが特徴で、40歳代や喫煙者でも使いやすい避妊薬といえます。
年代を問わず、月経の諸症状や避妊の不安で悩む方は、産婦人科医に相談してみてください。