- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県大野城市
- 広報紙名 : 広報「大野城」 令和7年3月15日号
■発掘調査御陵古墳群出土三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)の秘話
大野城心のふるさと館に納められている三角縁神獣鏡。古墳時代前期に作られたもので、縁の断面が三角形をしており、鏡の中心には神仙と霊獣の像を配置していることが特徴です。この鏡は、割れてバラバラになっており、今は8片が残っていますが、出土した時の様子について、次のような秘話があります。
御陵中学校の近くに、赤坂山と呼ばれた山がありました。今から200年ほど前の一八〇二年、この山で遊んでいた3人の子どもたちが山中から古い鏡を掘り出しました。この鏡が、三角縁神獣鏡です。
鏡は掘り出された時は完形であったようですが、16片に打ち割って3人で分け合って持っていました。しかし、このことを聞きつけた当時の中村の村長が、古い鏡であったので博多の鋳物師に頼んで大小1枚ずつ複製の鏡を作ってもらい、1枚は御陵中学校の南側にある御陵宝満神社に、もう1枚は中宝満神社に納めました。
また、鏡を掘り出した場所を村長たちが調べたところ、剣と古い木を見つけました。赤坂山には古墳があったと考えられます。
赤坂山がどこにあったのかは、今は分からなくなっていますが、村長はその後も鏡を代々大切に保管していました。
一八六七年、中村の村長のひ孫が村長を務めていた時、京都から太宰府に送られていた三条実美(さんじょうさねとみ)らが乙金村の村長の家に遊びに来ました。中村の村長は、家で大切に保管してきた三角縁神獣鏡を見せ、三条公はその鏡を見て大変興味深く思い、後日次の歌を中村の村長に送りました。
ふる鏡 影はくもれと古(いにしえ)の あとはさやかに見へて残れり
鏡はその後、大野城市で保管されるようになりました。子どもが持っていたままであれば失われていたかもしれません。鏡を残そうと、さまざまな人たちが今につないでくれているのです。
問い合わせ先:心のふるさと館文化財担当
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