子育て 新学校探訪(ICT教育)

那珂川市では、GIGAスクール構想による1人1台端末環境の整備が進み、ICT機器を活用した学習が日常化しています。

◆那珂川市立 那珂川中学校
◇学校からひと言
デジタルとアナログ、どちらのよさも生かして、子どもたちの学びをもっと豊かに

◇ICTを効率的・効果的に活用する
「陸上競技で、ピストルの音が鳴ってから0.1秒以内に動くとフライングと判定されるのはなぜか?」という問いをきっかけに、生徒は自分の反射速度を測定し、その結果を入力しました。すると、そのデータから分布図が即座に生成され、すべての記録が0.1秒以上であることを視覚的に確認できました。ICTの活用により、データの収集・可視化が効率的にでき、考察や分析に十分な時間を確保できたことで、生徒の学びの深まりにつながっています。

◇授業における「振り返り」
本校では、毎時間の振り返りや単元ごとの振り返りを大切にしています。生徒たちは、振り返りを通して、その時間や単元の「めあて(学習目標)」に対して、自分がどれだけ理解できているか、どのような力が身についてきたかを自分自身で確認します。こうした取り組みによって、自らの学びを客観的に見つめる力(メタ認知)が育まれ、学習に対する主体性や調整力が高まります。また、学習を通して身に付けた知識や技能を振り返り、一般化することで、自身の成長を実感できる時間にもなっています。さらに、学んだことが日常生活や将来の進路、社会でどのように役立つのかを考える機会にもなっており、学習内容を深く理解することにつながっています。振り返りをもとに、より高度な課題に挑戦することで、思考力や問題解決力の育成にもつなげています。

◇生成AIを活用した英語の授業
2年生では、生成AIアプリを活用し、スピーキング力の向上に取り組んでいます。文の並び替えや語彙力を強化するドリルに加え、満点を目指して繰り返し音読に挑戦することで、着実に話す力を伸ばしています。さらに、年に4回実施する外国人講師との1対1のオンライン英会話では、日頃の学習の成果を試すとともに、自分の課題を見つけ、さらなるスキルアップにつなげています。また、家庭でも生成AIを活用することで、英語力の一層の向上が期待できます。

3年生では、九州大学の内田(うちだ)准教授の全面的なご協力のもと、生成AIを活用したライティング評価ツール「CWLA(※1)」を導入し、生徒の英語表現力の育成に取り組んでいます。この生成AIを使うことで、生徒が自ら作成した英文に対して、生成AIが添削を行い、誤りのある箇所を示してくれるため、個別最適な学びが実現されています。さらに、内容・構成・表現・語彙・文法といった観点から英文を数値化して評価できるほか、CEFR(※2)に基づいたスコアから自身のおおよその実用英語技能検定のレベルを把握することも可能です。これにより、生徒の学習意欲の向上にもつながっています。
※1 英作文自動添削アプリケーション
※2 語学力を6段階で評価する国際的な基準

本校ではICT教育を積極的に推進し、生徒一人ひとりに応じた「個別最適な学び」を実現しています。また、どの授業においても「振り返り」の時間を設定しています。生徒が自らの学びを振り返り、主体的に成長する力を育んでいます。

◇英語教育・ALT通信
ALTのシャロンです。那珂川中学校の生徒さんたちは、いつも温かい笑顔と澄んだ声で挨拶してくれるので、お話をするのが楽しいです。生徒たちはICTやデジタルツールを駆使し、英語の授業を楽しく効果的に進めています。メディアとテクノロジーにより、那珂川中学校の英語教育はより意義深く、楽しいものとなりました。こうした経験に感謝するとともに、生徒たちが日常生活で英語を楽しみ、大切にするための意義ある活動を今後も展開していきたいと考えています。

●1月号の新・学校探訪は、那珂川南中学校です。お楽しみに!

問い合わせ:那珂川市教育委員会 学校教育課 学校教育担当
【電話】953-2211(内線265)