- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県多久市
- 広報紙名 : 市報たく 令和7年12月号
■歴史をつなぐ多久聖廟の釈菜
11月19日 記
市長となり緊張することが多く、いつもドキドキな場面がありますが、その一つに創建以来300年以上にわたり受け継がれてきた多久聖廟の釈菜があります。多久聖廟は、1708年(宝永5年)に多久茂文公が孔子像を安置し、領民に「敬」の心を培わせるために建てた孔子廟です。建築様式は、禅宗様仏堂形式と呼ばれる我が国の代表的な建築様式ですが、彫刻や文様は中国的な雰囲気を出し、現在は、国指定重要文化財として大切に保全しています。
その伝統行事である釈菜は毎年4月18日(春季)と10月の第4日曜日(秋季)に執り行っており、県の重要無形民俗文化財にも指定されています。儀式を司る献官、祭官・掌儀・賛者・祝者などで孔子像や四人の弟子である顔子、曽子、子思子、孟子の四哲像にお供え物を捧げます。また、雅楽の演奏は市職員が行い、それぞれ中国の明時代の衣装を纏っています。この儀式で献官は市長が務めることとなっており、多くの所作を覚えるために収録された映像を何度も見返し、個人指導も受けました。
廟内で酌を洗う、香を焚く、甘酒を供えるなどの多くの所作を通し思ったことは、釈菜は一つの祭事だけと思うのではなく孔子や顔子、曽子、子思子、孟子に思いを馳せるひとときであり、創建以来300年以上続いた歴史の一部になったことを感じました。
多久茂文公がこの地に多久聖廟を建立した意義を踏まえ、市民のみなさんとともに多久市を創っていきたいと思います。
