文化 『西南戦争と150年後のぼく』

北海道出身のJICAグローカルプログラム実習生が、西南戦争にまつわる史跡を巡り、心に感じたことを綴りました。

■その二「桜田惣四郎辞世詩碑」
山北口踏切を過ぎ、右に曲がれば中央公民館に行くところを反対に進む。道は二手に分かれている。平らな道と坂道。スマホのマップではどちらが正しい道か見えづらい。一か八か坂道を進む。残念ながら目的地を指す赤いピンから遠ざかった。引き返して平らな道を行く。
その詩碑は道の片隅に見つけた。白い水しぶきがかかったような岩に漢詩が一首書かれている。その細く刻まれた字を隣の解説と見比べながら読む。詩は「欲潔一身不覔栄(己自身、潔く生きんと欲して栄達の道をもとめない)」からはじまっていた。熊本隊参謀の桜田惣四郎は二俣の生まれ。西南戦争の出陣に際し決死の覚悟でこの詩を詠んだ。28文字の詩には清潔な人柄と世情に対する無念さがにじみ出ていた。
詩碑は道の片隅にひっそりとある。派手さのないその様子が、彼自身をよく表しているような気がした。
長谷川 健太