その他 第242回 郷土の植物(433)

■オウギカズラ(シソ科)
阿孫 久見
丘陵地(きゅうりょうち)や低山地(ていざんち)のやや湿気(しっけ)を帯(お)びた土壌(どじょう)の半陰地(はんいんち)になった谷沿(たにぞ)いに生育(せいいく)する草丈(くさたけ)20センチほどの多年草(たねんそう)です。成長(せいちょう)とともに基部(きぶ)の節(ふし)から地表(ちひょう)をはう走出枝(そうしゅつし)を伸ばします。
対生(たいせい)の葉(は)は粗(あら)い波状(なみじょう)の鋸歯(きょし)があり、ほぼ五角形(ごかっけい)になった心形(しんけい)で、長さ5センチ、幅(はば)が3.5センチほどです。葉の裏面(りめん)の葉脈(ようみゃく)には毛(け)があります。
春の頃(ころ)、茎(くき)の先端部(せんたんぶ)の葉腋(ようえき)に、径(けい)2センチほどの淡紫色(たんししょく)の筒状(つつじょう)の唇形花(しんけいか)を数個(すうこ)咲(さ)かせます。花(はな)の下唇(かしん)の幅が他に比(くら)べて広(ひろ)く、目立(めだ)ちます。
和名の由来(ゆらい)は、粗い鋸歯(きょし)のある葉を扇(おうぎ)に見立(みた)て、花が咲き終(お)えた後、走出枝を出すので扇葛(オウギカズラ)の名があります。
竹田では、まだ観察(かんさつ)されておらず、くじゅう山系(さんけい)のごく限(かぎ)られた谷筋(たにすじ)で観察されますが、個体(こたい)は少ないです。花期(かき)は4月から5月です。