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■発達障害を理解する

発達障害という言葉は知っていても、その特性や本人・家族が抱える困難についてはまだ十分に理解されていません。
発達障害とは、生まれつきの脳の働きの違いによって、勉強や生活、人との関わり方に特徴があり、そのため日常生活に支障がある状態です。これは、性格や親のしつけの問題や努力が足りないから、ではありません。つまり、病気のように治すものではなく、その人の個性として理解することが大切です。しかし、行動や気持ちのコントロールを助けるために薬を使うことはあります。例えば、集中できない、じっとできない、イライラ、不安などの症状を助ける薬です。ただし、薬には副作用が出ることもあるため慎重に使う必要があります。
また、薬を使うかどうかは、本人と家族、医師がよく相談して決めます。
発達障害の代表的なものに、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)があります。各々の説明はここでは省きますが、これらは知能の高さとは関係なく、得意なことと苦手なことの差が大きいのが特徴です。他人との関係づくりやコミュニケーションなどが苦手ですが、優れた能力が発揮されている場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくいところでしょう。偉人エジソンやアインシュタインも発達障害だったのではといわれています。
また、大人になってから発達障害とわかる人もいます。学生のうちは家族や先生が助けてくれますが、社会に出た時に自分の特性をうまく理解してないと生きづらさを感じることもあります。
自分の特性をよく知り、それに合った工夫をすることが大切です。例えば、忘れ物が多い人はメモをとる、予定を目に見えるところに貼っておく、集中しやすい環境を作るなどです。周りの人たちも「なぜできないのか」ではなく「どうしたらできるようになるか」を一緒に考えられたら本人の助けになります。
発達障害を欠点と考えるのではなく、個性として受けとめ、本人の能力を引き出しつつ、周囲が理解と支援を行う必要があります。今、周囲で生きづらさを感じている方がおられたら、手を差し伸べてください。多様な個性として尊重し、皆が自分らしく生きる社会を目指していきたいものです。

今月のドクター:指宿医師会 高桑由美子(たかくわゆみこ)

問合せ:指宿医師会
【電話】34-2820