- 発行日 :
- 自治体名 : 沖縄県八重瀬町
- 広報紙名 : 広報やえせ 令和7年12月号
◆豚化け美女
字志多伯出身
[話者]大正8年生 男性
昔むかしの話だね。豚がね、人間に化けたという話をちょっぴり聞いたんですよ。昔はね、若い男女がさ、よくモーアシビー(毛遊び)というのを、まあ盛んにやっていた。その頃の話になるんですけれども・・・。
日中の仕事を終えた若者たちが、夕暮れ過ぎた頃に広場に集まっているとね、とても美しい女性がそこに現れた。
みんなで一緒に歌って踊っていると、その女の人が手拍子しながらね、何やらこんな掛け声をするわけさ。
『シーグーグー、シーグーグー』って。
「このお嬢ちゃんは顔、姿は美しいけれども、踊りながら手拍子の時に『シーグーグー、シーグーグー』と言うんだよなぁ、おかしいなぁ」と気になったぐらいで、若者たちは一緒に最後までモーアシビーを楽しんだ。
モーアシビーが終わり、それぞれが家に帰るなか、その娘さんも帰って行くのだけれども、その時もまた『シーグーグー』しながら藪の中に消えていった。
みんなで「これはおかしいなぁ」ということで話をしていたら、若者の一人が「豚みたいに四つ足で這って藪の中に入って行ったぞ」と言うもんで。
それで豚も、たまにはこうして人間に化けて遊びに来るんじゃないかという話を聞いたんですよ。
まあ、ここらへんのお話で終わりたいと思います。
今回、掲載した昔話は昭和57~59年に八重瀬町内各字の皆様のご協力を得て収集した昔話の内の一話です。「八重瀬町伝承話資料保存継承事業」(令和5、6年度)の一環で使用許諾を得られた話を紹介しました。
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