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伊賀の歴史余話37

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三重県伊賀市

■人々を見守る地蔵
伊賀地域には石仏が多く存在します。道端に安置されるものや、小さなお堂などが建てられているものなど数多くあります。石仏の種別は地蔵菩薩(ぼさつ)が主になっており、地蔵信仰が地域の人々に強く根付いている様子が見て取れます。
地蔵石仏は、室町時代から造られる数が増加しました。個人が寺に寄進することも多く、供養のためや祈願・願解(がんほど)きのために造られました。また、街道沿いに安置されていることも多く、国や村の入口や境界を守るために祀(まつ)られていました。
写真は槙山の東福寺跡近くにある「みちゆき地蔵」です。南北朝時代頃に造られたとみられる比較的古い石仏で、舟形光背(ふながたこうはい)に半肉彫りの地蔵菩薩立像が彫り刻まれています。花崗(こう)岩でできており、高さは145センチほどとしっかりとした大きさです。光背部分には複弁蓮華六弁(ふくべんれんげろくべん)があり、台座の部分は二段になっています。錫杖(しゃくじょう)を持つ右手の形が少し変わっているのが特徴です。
みちゆき地蔵は、旧道沿いにお堂が建てられ祀られています。槙山は河合川上流域に位置する山間の集落で、滋賀県甲賀市の信楽町や甲南町へ至る道がある要衝の地です。奈良時代から平安時代頃は東大寺の荘園の一部となり、中世には城館が築かれ、また窯跡があるなど、人の往来が盛んだった地です。
全国的に見ても峠道や要衝の地に安置されている地蔵は「みちゆき」や「みちびき」などの名で呼ばれることも多く、行き交う人々の無事を見守ってきたのではないでしょうか。

問合せ:文化財課歴史資料係
【電話・FAX】41-2271

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