認知症の人が、住み慣れた地域で安心して暮らすためには、地域の皆さんの理解と支えが不可欠です。
◇「暮らしづらさ」の軽減を
認知症になることで、多くの人が外出や交流の機会が減少した――。そんな調査結果があります。日常生活で困っていることとして、ATMや券売機の操作、バスや電車の乗り継ぎ、多様な商品の選択などが挙げられています。
地域の一人ひとりが認知症の知識を持ち、工夫や気遣いができれば、認知症の人の暮らしを支えていくことができるはず。認知症を理解し、接し方を学ぶ機会として、市では、「認知症サポーター養成講座」を開催。これまで1・3万人が受講し、支援の輪が広がっています。
◇寸劇で認知症の人への接し方を学ぶ
名張郵便局で開催された「認知症サポーター養成講座」では、認知症の人への接客について、社員自らが寸劇で体験。認知症と思われる人が、「印鑑が無い、通帳が無い」とあわてたり、「通帳から勝手にお金が引き落とされている」と怒鳴りつけたり…。こうした事例にどう対応すべきかを考えました。脚本はまちの保健室職員のオリジナルです。
窓口勤務の小榎咲羽(こえのきさわ)さんは、「認知症と思われる人に強い口調で迫られ、うまく対応できなかったことも…。寸劇のように、落ち着いてゆっくりとお聴きしたり、周りの職員と連携したりすることで、もっと適切に対応できたのでは」と振り返ります。
地域や小中学校、企業、団体などさまざまなところで開催されてきた「認知症サポーター養成講座」。名張郵便局のように寸劇を取り入れたり、業種別の動画を視聴したりすることもあります。皆さんの組織や団体でも、この講座を皮切りに、認知症の人の暮らしを支える取組を進めていきませんか。
■地域一丸で支えていきたい
▽名張郵便局 西川雅也局長
社員の理解不足から認知症の人への対応に苦慮することも…。まちの保健室に相談することで、適切な対応に結び付けられることもあります。コロナ禍で中断していた「認知症サポーター養成講座」も、まちの保健室の提案で実施できました。今後も、密に連携しながら、地域一丸で認知症の人の暮らしを支えていきたいですね。
■認知症サポーター養成講座
地域包括支援センターの職員などが、認知症の症状や認知症の人と接する際の心がまえなどについてお話しします。申込は、10人以上のグループで、地域包括支援センター(【電話】63-7833)へ
■認知症になることで外出や交流の機会が減少
・「友人や知人と会う」機会が減った 69.2%
・「買い物」に行く機会が減った 67.8%
・「外食に行く」機会が減った 60.1%
※平成26年度認知症の人にやさしいまちづくりの推進に関する調査研究事業(厚生労働省)
■知っておきたい!認知症の人の暮らしを支える仕組み
◇地域SOSシステム(行方不明者の早期発見マニュアル)
認知症高齢者などが行方不明になった場合、迅速な捜索活動を行うための「地域SOSシステム」。家族から区・自治会長を通じて消防本部へ依頼があった場合、マニュアルに基づき、区・自治会が市や警察などと連携して捜索します。
問合せ:協働のまちづくり推進室
【電話】63-7484
・初動時に地域と各機関による連携した捜索体制を実現
保護された際の身元確認・連絡に役立てる「見守りシール」を配布。詳しくは、介護・高齢支援室(【電話】63-7599)へ
◇成年後見制度
成年後見制度は、認知症などで、ひとりで決めることが心配な人や難しい人の契約、手続、財産の管理などをお手伝いする制度です。
名張市と伊賀市で設置した「伊賀地域福祉後見サポートセンター」では、この制度が使いやすくなるように、相談・助言などを行っています。
問合せ:伊賀地域福祉後見サポートセンター介護・高齢支援室
【電話】63-7599 21-9611
◇介護保険制度
介護保険サービスを利用するために、まずは、聴き取り調査などで介護の必要度を判定(要介護認定)する必要があります。 要介護度に応じて、デイサービスや住宅改修、認知症の人が共同生活を送るグループホームなど、必要なサービスを組み合わせて利用します。
問合せ:介護・高齢支援室
【電話】63-7599
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