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特集 認知症とともに。認知症とは何か?

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三重県名張市

認知症の原因は?治療法は何があるの?注意しておきたい点は?
専門的な認知症治療に携わる上野病院の平尾院長に伺いました。

■早期発見・治療により、効果的に進行を遅らせることができるんです
▽上野病院 平尾文雄 院長
上野病院(伊賀市四十九町)は、県が指定する「認知症疾患医療センター」として、保健・医療・介護機関などと連携を図りながら、認知症の診断、治療(外来・入院)、相談業務などを行っています。

◇人は、いずれ認知症になる
認知症をおこす病気はさまざまですが、認知症患者の約70%を占めるのは「アルツハイマー型認知症」です。脳に不要なたんぱく質が蓄積され脳が委縮する病気で、食生活や運動不足の改善などが発症を遅らせることにつながります。ただし、認知症の発症リスクは、年齢が上がるにつれ高くなり、90代で70%ほどの人の認知機能に障害が現れます。いずれ認知症になるものと考え、自分ごとにしておいてほしいと思います。
もちろん、認知症になったからといって「何もできなくなる」わけではなく、できる限り生活に支障が出ない期間を延ばしていくことを目指します。重要なのは、早期発見・治療です。物忘れが多くなるなど、日頃の行動に変化を感じたら、かかりつけ医を受診してください。認知症と診断される手前の「軽度認知障害(MCI)」で治療を始めると、より効果的に進行を遅らせたり、健康な状態に回復させたりできる場合もあります。
なお、物忘れと認知症の違いは、本人に「忘れた」という自覚があるかどうか。例えば、約束を忘れないようにノートにメモをした場合、メモの内容を忘れてしまうのが物忘れ。メモを取った体験自体を忘れてしまうのが認知症で、生活への支障も大きいものとなります。「若年性認知症」といって、若くても発症することもあります。

◇脳活性化の心得は、楽しむこと、孤立しないこと
認知症の進行具合や症状は人によってさまざまですが、今のところ、認知症の症状は完全には治せません。
治療法としては、進行と症状を抑えるための薬物療法のほか、脳を活性化させるための作業療法や音楽療法などの非薬物療法があります。「楽しむ」ことで脳活性化の効果が高くなるんですよ。また、家の中の導線を単純化したり、認知症の人の「気持ち」に寄り添ったりと、周囲の環境を整えることで、症状を緩和することもできます。
特に注意していただきたいのは、周りから「孤立」してしまわないこと。「起きて着替えて出かける」という暮らしの張り、「自分の役割を持つ」という気持ちの張りが得られず、脳の動きがどんどん鈍くなっていきます。「認知症だから人に迷惑をかけないでおこう」と家に閉じこもってしまうと、刺激が無くなり、心身ともに老化を進めてしまうおそれがあるのです。

■徐々に現れる認知症の兆候
認知症の兆候は徐々に現れることがほとんど。早期に治療すれば進行を抑えられる可能性が高くなります。

※症状は一例で個人差が大きい

▽軽度認知障害(MCI)の症状具体例
□同じ話をすることが多くなった。
□先ほど食べたものや知人の名前、暗証番号など、忘れにくいようなものを忘れている。
□お金の計算やスケジュール管理ができなくなった。
□料理の味付け、車の運転などの様子が変わった。
□好きだった趣味活動をしなくなった。

■脳活性化の4原則
脳の活性化にはさまざまな方法がありますが、次の「脳活性化の4原則」を楽しく行うことが大切です。

1 快刺激で笑顔に
心地よい刺激や、笑うことで、意欲をもたらす脳内物質(ドーパミン)がたくさん放出されます。

2 コミュニケーションで安心
社会との接触が失われると、認知機能の低下が進みます。友人や家族などと楽しい時間をもつことが大切です。

3 役割・日課をもつ
人の役に立つことを日課に取り入れることが、生活を充実させ、認知機能の維持に役立ちます。

4 ほめる・ほめられる
ほめても、ほめられてもドーパミンがたくさん放出され、活動意欲が高まります。

出典:全国キャラバン・メイト連絡協議会「認知症を学びみんなで考える」

■早期発見のきっかけに
◇物忘れチェック
まちの保健室では、タッチパネル型テスト機器「もの忘れ相談プログラム」の体験会を不定期で開催。ゲーム感覚で認知症の早期発見につなげます。「もの忘れ」が心配になってきたら、まちの保健室へご相談を。

問合せ:地域包括支援センター
【電話】63-7833

◇脳活性化プログラム出張体験会
「楽しんで取り組める」をモットーに、上野病院で実施している脳活性化プログラムを体験して、認知症予防を学んでみませんか。クイズや体操など、笑って楽しく、脳活性化!
※10人以上のグループが対象(無料)

問合せ:上野病院
【電話】21-5010(体験会窓口)

◇脳の健康スクリーニング(検査)
もの忘れが気になり始めた人に、簡易検査を実施しています。専門医療機関に受診すべきかどうかアドバイスがもらえます。まずは、かかりつけ医にご相談ください。

問合せ:三重大学医学部附属病院 認知症センター
【電話】059-231-6029

■相談窓口
・各地域まちの保健室
・地域包括支援センター(市役所1階)
・上野病院【電話】21-8800(平日13:00~16:30)
・県認知症コールセンター【電話】059-235-4165
(委託先:認知症の人と家族の会 月・火・木・金・土曜日10:00~18:00)

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