担い手不足や高齢化が進む農業分野において、障害者などの雇用を進めていくことは、「農業」と「福祉」の両分野でメリットをもたらします。
■めばえファームで実現。より幅広い「農福連携」
障害者が農業で活躍し、自信や生きがいを持って社会に参画するための取組を「農福連携」といいます。農業と福祉の分野が手を取り合うことで、農家にとっては担い手の確保や生産性の向上、障害者にとっては就労機会や収入の確保につながり、両分野にメリットをもたらします。
以前は障害者手帳を持つ人を対象とする取組として、協力農家に障害者と農業ジョブトレーナーが出向き、与えられた作業をしながら就業に向けた訓練を行っていました。
障害者アグリ雇用推進協議会が「めばえファーム」を管理するようになった平成29年以降は、ひきこもりや高齢者などさまざまな課題を抱える人も対象に加え、より幅広い「農福連携」の取組を進めることができるようになっていったのです。
こうした中、「めばえファーム」での就労体験実習には、のべ500人近くが参加。また、農業ジョブトレーナーの登録者数は100人を超えています。
■収穫した野菜の販売が就業訓練の貴重な機会に
毎週木曜日、市役所の1階ロビーでは、福祉事業所や協力農家などが野菜や果物、お菓子などを販売しています。ここで、めばえファームの利用者も野菜を売っているのですが、これもまた、就業訓練の貴重な機会となっています。
自分たちが作ったものが消費者に喜ばれ、満足感を得られるところがポイント。農業は自分で作った野菜を自分で収穫して自分で売るため、人の役に立っていることが実感できます。そして、この経験が次へのステップにつながっていきます。
ただし、「めばえファーム」での作業は、あくまでも就労の第一歩を支援する場。農作業の熟度を上げていくためにも、令和5年度からは、協力農家で一歩進んだ作業を行い、しっかりと就労に結び付けていけるように取り組んでいます(就労先は、農業に限ってはいません)。
■農業×福祉
◇伊賀つばさ学園農業体験学習
伊賀つばさ学園中学部の生徒たちが、1年を通して、土づくりから収穫までの流れを、めばえファームで農業ジョブトレーナーなどに教わっている。
収穫した野菜は校内で教師や保護者などへ販売し、収益で種いもや肥料などを購入。教師や保護者ばかりではなく、ジョブトレーナーなどさまざまな人と関わる貴重な機会にもなっている。
■障害者就労支援の現場から
◇障害者就労支援には、皆さんの力が必要です
めばえファームでは、やる気のある農業ジョブトレーナーさんがたくさんいますが、その多くは60歳以上。利用者に多様な世代と接してもらえるよう、できれば、現役世代の人も気軽に農業ジョブトレーナーに登録いただければありがたいですね。作業日は平日ですが、月2回程度です。農福連携で作られた野菜などを購入いただくことも支援の1つとなります。
また、障害者の就労支援には、事業者の皆さんの協力が不可欠です。障害者人材センターでは、本人にあった仕事に就けるよう、事業者などと協力しながら障害者の就労を支援しています。障害者人材センターを通じて就労した障害者は、私が担当し始めた10年ほど前は年間2人程度だったのが、令和4年度は30人以上に。皆さんのご協力のおかげで、障害者の雇用は着実に増えてきています。
障害などで働きたくても働けないと悩んでいる皆さん。あなたに合った方法を一緒に考えていきますので、ぜひ一度、障害者人材センターにご相談ください。
障害者人材センター 障害者就労支援員 水本清知(みずもときよかず)
■障害者人材センター
障害者の皆さんの就労を支援しています
就労を希望する障害者の皆さんは、総合福祉センターふれあい内の「障害者人材センター」へお気軽にご相談ください。
情報提供や就職活動の手伝い、職場との課題の調整など、相談者が安心して働けるように支援。就労前の準備として、めばえファームなどの就労体験実習も紹介しています。障害者雇用を考えている事業者の皆さんからのご相談もお待ちしています。
問合せ:障害者人材センター
【電話】63-0026
◆農業ジョブトレーナーになるには?
農業ジョブトレーナーに興味を持ったら、「農業ジョブトレーナー養成研修会」にご参加ください!毎年秋ごろに開催していて、障害者の就労支援などについての講義や農場での実習を行っています。
問合せ:障害福祉室
【電話】63-7591
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