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自治体の皆さまへ

能登半島地震被災地派遣リポート 避難所で生活する日

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三重県名張市

能登半島地震により、長引く避難所生活を余儀なくされている皆さんがいます。「避難所での暮らしはストレスの連続だと感じた」と、現地に派遣され、避難所運営に携わった名張市の職員は訴えます。
暮らしが一変し、衣食住のあらゆる面で不便が待ち受ける。いつ始まるか分からない、そんな避難所生活に向けての心構えとは――。

石川県輪島市の門前(もんぜん)東小学校で、4月27日から5月3日まで避難所運営にあたった2人
公共施設マネジメント室 福増由里江
障害福祉室 大橋佳奈

■輪島市の避難所に派遣された2人の職員の思い
能登半島地震から半年。市では石川県の被災地へ、のべ77人の職員を派遣してきました(5月末で一旦終了)。支援内容は、医療、消防、下水道管の検査、給水活動、被災建築物の応急危険度判定、家屋被害調査、学校支援、避難所運営と多岐にわたります。
「いつ起きるか分からない災害に対応できるよう、被災地での経験を積んでおきたかった」と話すのは、4月下旬、33人の被災者が避難する輪島市の門前東小学校に派遣された大橋職員。ペアで活動にあたった福増職員は、「私ができることがあれば、ぜひ被災地へ行って役に立ちたかった」と思い返します。それぞれの思いを胸に、避難所に寝泊まりしながら、食事の段取りや、必要物資の報告などの運営に携わりました。
門前東小は、当時1階と3階が避難所となっていて、5つの地区ごとにリーダーを選出。自主運営が進められていました。運営本部となっていた教室の黒板には、朝食や夕食の仕分けや炊き出しの日程、関係機関の電話番号などの情報がびっしり。被災者とともに支援自治体の職員が更新し続けてきたものです。
「自治体の支援やボランティアなどによって、数々のサービスが提供されているのを目の当たりにしました。一方で、発災当初、現地の自治体職員も被災していますので、行政が十分に対応できるわけではありません。過労で倒れた職員も出たそうです。自分でできることは事前に備えておいてほしい」と大橋職員は訴えかけます。水や食料はもちろん、常備薬や離乳食など各家庭に合った備えをしておくことも大切です。

■派遣職員が見聞きした避難所のリアル
門前東小での避難者の居住場所は教室で、常にプライバシーを保つことが難しい状況でした。「他人同士が一緒に暮らすわけですから、音や匂いなども気になります。そんなストレスのある暮らしを強いられているにも関わらず、介護が必要な人を手助けしたり、知的障害のある人に配慮したりと、協力して生活している様子が印象的で、お互いさまの心が大切なのだと教えられた」と二人は振り返ります。
そんな中、「先のことが考えられない」、「高齢で自宅を復旧するのも難しい」など、不安を抱える被災者の声に耳を傾けていった二人。「亡くなった妻の着物を倒壊家屋から持ち出したいが、保管する場所も無い――といった話を聴くと、とてもいたたまれない気持ちに…。『せめてあいさつは明るく』を心がけました」と福増職員。大橋職員は「本震前にも地震があり、慌てて自宅から飛び出たという人も。揺れが収まり戻ろうとしたら、『危ないよ』と近所の人に呼び止められ、直後の本震で自宅が倒壊。難を逃れたそうです。声を掛け合える普段からの近所付き合いが大切だと思い知らされました」と話します。

■様々な想定の下で、地域ぐるみの防災訓練を
輪島市内の避難所では、コロナやインフルエンザの感染が広がったり、薬の服用を誤る高齢者が続出したりと、様々な苦労があったそうです。
「災害が起こった時、地域でどのように助け合えるか、行政ができること・できないことを考えておくために、防災訓練の必要性を感じた」と二人は口を揃えます。名張では、5月に市内初となるペット同行避難訓練(関連記事P13)が実施されましたが、今後も、様々な想定の下、地域ぐるみでの防災訓練を継続していくことが求められます。

問合せ:危機管理室
【電話】63-7271

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