■スポーツによるまちづくり
近藤:ヴィアティン三重と関わったのは、仕事がきっかけでした。関わっていく中で「応援していきたいな」という気持ちが大きくなり、その上で、町民として「プロスポーツクラブが東員町にあるといいな」と思い、手伝うようになりました。ホームスタジアムがあることで私は2つの効果があると実感しています。1つは、今後Jリーグに昇格すると、必ずホームゲームでもアウェーチームのサポーターが多く来るので、とても大きな経済効果が見込めます。対戦相手によっては、驚くほどの経済効果が生まれることがあります。2つ目は、昔私も野球をやっていて、よく父親にナゴヤ球場へ連れて行ってもらいました。現在、東員町ではプロスポーツ選手を間近で観ることができ、接することさえできます。そして選手が同じ町に住んでいるということは、どこの市町でもあることではありません。今はサッカーやバスケットだけですが、それでもこの距離感でプロスポーツ選手に接することは教育的にもすごく良いことだと思います。時には指導を受けたりすることで、子どもたちは夢を持つことができるのではないでしょうか。
町長:昨シーズンまでヴィアティン三重のスポーツディレクターを務めていた和波智広さんは、いなべ市出身で幼少期から知っています。小学生のころから足が速くで飛びぬけていました。卒業後はベルマーレ平塚やコンサドーレ札幌などのJ1でもレギュラーとして活躍していました。今後もヴィアティン三重を間近で観て、子どもたちが夢を大きく持って育ち、この地域から和波さんのようにJリーグで活躍する選手がたくさん出てきてほしいと思っています。そして、ヴィアティン三重がJリーグへ昇格して活躍してくれることを願っています。そのためにも、ヴィアティン三重には早くJリーグへ昇格してほしいと思います。
近藤:来年ヴィアティン三重はJFL8年目ですが、8年目で昇格するチームが多いと聞いていますので、来年こそは頑張ってほしいです。LA・PITA東員スタジアムで開催するホームゲームでは、スタジアムグルメをキッチンカーなどで販売しています。私は、出店の調整などに関わっていますが、出店する店舗もホームタウンの事業者に限定していて、なるべく地域にお金が還元できるように工夫しています。サッカーはスタジアムで飲食しながら観戦する文化がありますので、地域の事業者へ還元できているはずです。
町長:近藤さんは、THE BOWL cafeでも地域の野菜やお米などを積極的に使い、地域にお金を還元できる仕組みを考えてもらっていて、とてもありがたいです。地元で採れるものを加工することで付加価値を上げる仕組みをつくり「これぞ東員町」という商品を新しく創り出すことが大切だと思っています。
近藤:例えば、ヴィアティン三重の選手が生産から販売まで関わることがあってもいいと思います。Jリーグチームの中にも選手がお米を作って販売し、それをサポーターが購入している成功例もありますので、そのような取り組みもしていくといいと思います。
■東員町の将来像
近藤:私は、昔から東京へ出たいという夢を描いていましたが、さまざまな理由でタイミングを失い、東員町で生活しています。しかし、結果的に東員町に住んでいてよかったと思っています。今の私にとって好きな場所で好きな人と過ごすことが一番の幸せです。私のように、好きな場所が東員町だと言える人がもっと増えれば、必然的に東員町に住む人も増えると思います。そのためには、子育て・教育・文化などの環境も大切ですが、それだけではなく魅力あふれるまちになっていかないといけないと思います。
町長:今の東員町に足りないものは、ちょっとした利便性ではないでしょうか。「東員町の中心はどこ?」と聞いても、多くの人は答えられないと思います。やはり、誰が聞かれても答えられるようにならないといけないと思いますし、日常で不自由しない町並みが必要だと思います。私は、東員町の中心は東員駅前だと思います。色々な規制があるのは確かですが、東員町の将来を考えると、そこに人が集う場所ができれば東員町はより良い町になると思います。また、今少しずつ進めている地域づくりも「自分の住む地域をつくっていくのは自分たちだ」と誰もが思うようになれば、東員町として本当の実力がついてきます。現状では「地域のことは地域で」と言っても、なぜ自分たちがしないといけないのかという人は多いと思います。しかし、自分事のように考える人が増えてきていることも確かです。新しく住む人も含めて、自分の住む地域を自分たちでつくりあげていければいいなと思います。
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