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自治体の皆さまへ

安心のまちづくりのために 第100回 高齢者の暮らしを考える

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三重県松阪市

■[第100回記念対談]地域包括ケアシステム
今回は記念すべき100回目として、高齢者がいつまでも安心して住み慣れた地域で自分らしい生活を送ることができるよう、地域で支え合う『地域包括ケアシステム』について、日々ご尽力いただいている医療・福祉関係の方々にお話を伺いました。

○長友 薫輝(ながとも まさてる)さん
(ファシリテーター:佛教大学社会福祉学部 准教授)
○志田 幸雄(しだ さちお)さん
(松阪地区医師会参与高齢者保健福祉計画等策定委員会会長)
○平岡 直人(ひらおか なおと)さん
(松阪地区医師会会長)
○奥田 隆利(おくだ たかとし)さん
(松阪市介護サービス事業者等連絡協議会会長)

【長友】
これまでの地域包括ケアシステムの構築に関しては、医師会の先生方をはじめ様々な専門職の皆様のご尽力があります。これまでの取り組みや思いについて教えてください。

【志田】
地域包括ケアシステムは、例えるならば、江戸時代の井戸端会議。井戸の周りに集まった長屋暮らしの人たちが「あそこのおじいさんの調子が悪いらしいよ」など地域の情報交換を行い、「ちょっと様子見に行くわ」「ご飯届けるわ」というような助け合いの精神から生まれる住民同士の支え合いの形がありました。それが地域包括ケアシステムの原点だと我々は考えています。
そして地域包括ケアシステムは時代に即応して変化し、進化していくものです。これから高齢社会を迎える中で、高齢者だけでなく若い人や子どもも含め、「地域包括ケアシステム」というものをよく知ってほしいと思います。

【奥田】
『地域包括ケア』は、医療や介護、家族や友人、地域住民やボランティア等による生活支援(家事的援助等)も含めて、適切なサービスをまとまりよく必要な方にセットでお届けするという考え方です。松阪市は、研修や勉強会などを通じて、医療職、福祉職、ケアマネジャーが顔の見える関係づくりを一緒にやってきたということもあり、医療と介護の連携はかなり進んでいると感じます。
特に松阪市は色々な場面にケアマネジャーも参加できるため、ケアマネジャーの役割も浸透しています。その反面、地域住民の方々との連携があまり進んでいません。全世代型で、どんな方でも入っていただくのが地域包括ケアシステムです。企業も学校もすべて地域包括ケアシステムの中に含めることが大事ですね。

【平岡】
松阪市は医師会館の中に、訪問介護・訪問看護などが全てまとまっている「介護拠点」が出来ています。これは医療と介護が連携する太くてしっかりしたものができ上がっているということなのかなと思います。
その機能をどれだけ多様化させて、また医師会の中だけではなく様々な職種の方と連携し、充実させることができるのか。また、地域包括ケアの仕組みがたくさんあるので、どのように利用してもらうかが課題だといます。

【長友】
地域の方々に様々な工夫がされていることを知っていただく。僕も、責任分担をしていただくことは重要だと思います。なんでも行政や専門職に全て丸投げするのではなく、地域の方にもどれだけ分担できるのかが、専門職の方々が安定して働いてもらうために必要だと思います。

【志田】
井戸端会議のように自然に集まる場の中でニーズを見つけて、それに対して強制されるのではなく「じゃあ俺がやったるか」という気持ちで行動する。そういう雰囲気や場づくりが地域の中で必要だと思います。
時間はかかりますが、そういうコミュニティを地域住民が自分たちで作っていくことが大事です。もし大規模な地震などがあった時でも、みんなが支えあっていけるような地域を今のうちに作っていく。これまでの専門職同士の線の連携が縦糸と横糸で織りなす「松阪木綿」のような地域色ある「面の連携」に発展しつつあります。これからは、その連携を市民の皆さんと一緒に立体的に組み上げていく事で「地域共生社会づくり」が出来たらいいなと思います。

【長友】
では今後の抱負についてお聞かせください。

【奥田】
向こう三軒両隣の住民同士が助け合う地域というものが地域包括ケアシステムのベースです。私自身、これまでの取り組みが地域づくりにつながっていると感じることもあり、とてもやりがいになっています。今後も地域づくりの活動を続けていければいいなと思います。

【平岡】
在宅医療に参加してもらえるような輪を医師会に広げていきたいなと考えています。在宅医療は医師会の大切な役割だと思って、一人でも多くのドクターが参加してもらえるような形を作っていきたいです。
地域包括ケアシステムの仕組みをこれからどう発展させていくのかは次の世代である僕たちに課せられた責務だと思います。専門職の方々や行政の方も一緒に協力して頑張っていきたいです。

【志田】
コロナ禍での地域包括ケアシステムが地域ではどうだったのかを検証し、ポストコロナとして、今後どうシステムを動かし、変えていくかなども考えていきたいです。

【長友】
松阪市は、専門職同士の連携は先行して取り組んできましたが、地域包括ケアシステムをより進めていくためには、地域の方々とのつながりの面で仕掛けが必要というお話もありました。他の地域のお手本になるように、リードしていただきたいと改めて感じました。

問合せ:高齢者支援課
【電話】53-4099
【FAX】26-4035

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