宝塚町と光町にまたがる宝塚1号墳の発掘調査が1999年から始まり、2000年に国内最大で、全国初となる船上に立ち飾りの付く船形埴輪が発見されました。発見された船形埴輪は、古墳時代における準構造船の構造や全形を知るうえで欠くことができない発見となりました。
また、船形埴輪のほか、囲形埴輪や家形埴輪など遺存状態も良好で、当時の様子を読み取れることが評価され、合計278点の宝塚1号墳出土の埴輪が令和6年3月15日に国の文化審議会で国宝に指定するよう答申されました。
今月の特集では、発掘当時の様子やインタビューをまじえながら「三重県宝塚一号墳出土埴輪」の特徴をご紹介します。
◆《特徴》とにかく大きい!
船形埴輪は、大阪府や奈良県をはじめとして全国各地でみつかっています。しかし、宝塚1号墳の船形埴輪は、全長140cm、円筒台を含めた高さ94cm、最大幅36cmと、これまでにみつかっているものの中では最大規模のものです。
さらに特筆すべき特徴として、他に類例のない豪華な装飾がほどこされていることがあげられます。船首と船尾は、権威を象徴する複数の鰭(ひれ)状突起で飾られています。また、船体中央には同じく権威を象徴する蓋(きぬがさ)と呼ばれる日傘、王のもつ杖とされる威杖(いじょう)が2本、威厳を示す大刀が立てられていました。このような装飾がほどこされた船は、最も古い歴史書の一つ日本書紀の記述や、円筒埴輪に描かれた線画で知られていましたが、立体的な形で確認されたのは、この船形埴輪が初めての例となりました。
※船形埴輪の各部名称は広報紙P4をご覧ください。
■出土当時の状況をインタビュー
◆《国宝》松阪市の宝です!
船形埴輪は、古墳の谷間になっているところから出土しました。1.5mほど掘り下げて、やっと姿を現しました。出土したときは、底の部分は当時設置されたままの状態でしたが、上の部分は周辺に散ってバラバラの状態でした。
最初は、全体像がはっきりとは分からなかったのですが、その後組み立てに数か月かけ、形が整っていくと、全国に類例のない飾り船が再現されてきました。
このような形の船が出たことにとても感動し、関係し応援いただいた皆さんにとても感謝しています。
宝塚1号墳出土の埴輪は、とても良好な状態で出土したため、古墳時代当時の情報がいっぱい詰まっています。みなさんには是非、松阪で唯一、国宝に決まった埴輪を見に来ていただきたいです。
文化財センター
所長 福田哲也(ふくだてつや)
◆《必見》国宝決定を記念した『企画展』を開催!
文化財センターはにわ館では、「三重県宝塚一号墳出土埴輪」の国宝指定決定を記念して、夏季企画展と秋季特別展で関連展示を予定しています。ぜひ、ご来館下さい。
◇はにわ館では、本物の出土品を展示しています。実際の大きさなど、体験してみてね!
・小学生のみなさーん
・夏休みの自由研究に埴輪を調べてみよう!!
・みなさん気軽に遊びにきてね!
問合せ:松阪市文化財センター
松阪市外五曲町1番地
【電話】26-7330
【FAX】26-7374
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