【特集】保育×DX「子どもと向き合う 時間ができる。」(2)

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■長島中部保育所、桑陽保育所での試験運用を経て公立保育所での導入へ

〔コドモン(CoDMON)とは?〕
保育施設向けのICTサービスのことで、全国各地の地方自治体で導入されています。桑名市では、3年前から試験運用が始まり、今年4月からほぼ全ての公立保育所で順次運用がスタートする予定です。登所・降所の管理や保護者からの欠席連絡受付、指導案や日誌の作成など、保育所で行われるさまざまな業務が一つのアプリに集約され、保育士の業務負担を軽減して子どもに向き合う時間を増やすことを目的としています。

○長島中部保育所で試験運用している機能
・登降所管理
・保護者連絡
・指導案・日誌作成
・お知らせ配信
・おたより配信
・発育・健康記録
・アンケート
など

■「事務作業にかかる時間は半分くらいに短縮。その分、保育準備などに時間をとれます。」
長島中部保育所
保育士　山本　綾(あや)さん
山本さんは、育児休暇を取得し復帰したら「コドモン」が導入されていたという経験から「最初はコドモンの操作に戸惑った」と話します。しかし、それもすぐに慣れ、さまざまな業務が効率化されたことにメリットを感じているそうです。
「朝、子どもたちが登所すると保育士たちはそれぞれ出欠をとります。一方で、保護者からの欠席連絡は電話だったので、電話番が必要でした。今は、コドモンで欠席の通知があるので、パソコン上でまとめて把握でき、確実に保育士に伝えられます」。
書類作成の時間が大幅に短縮できたこともメリットの一つ。「月案や週案などの指導案、日誌、月1回のおたより配布など、保育士の業務には、書類仕事が意外と多く、今までは手書きで行っていました。これがパソコン上でできることで、かなり時間短縮になります。しっかり測ったことはありませんが、コドモンでの作成に移行した書類に関しては、かかる時間は感覚的に半分くらい」。他にも、プリントして手渡ししていた保護者へのおたよりやアンケートもアプリ上で配信できるようになりました。
多忙な保育士は、「日々、子どもと向き合っているため、他の業務の時間を確保するのが難しい」という課題を抱えがちですが、DXをうまく活用できれば、労働環境が改善され、保育士人材の確保にもつながります。また、保育士が子どもと向き合う時間が増えることにより、より質の高い保育を提供できるようになります。
○指導案作成は先輩保育士が指導することも。進捗状況がデータ上ですぐにわかるので、後輩へ声をかけやすくなったそうです。
○共通項目などはコピーして作成できるのがデジタルのメリット。毎月のおたよりは写真を簡単に挿入できるので、保護者から「子どもの様子がわかりやすい」と好評です。

■「欠席連絡が楽になり、おたよりがいつでもどこでも見られるのが便利です」
保護者
福島　晴香(はるか)さん
5歳の次女と、小学校1年生の長女を育てる福島さん。コドモンは次女の入所と同時に知ったそうで、「保育所もデジタル化が進んでいるんだなぁ～」という感想だったそうです。コドモンのアプリを触ってみると、直感的に操作できるため、特に違和感を覚えることもなく慣れたと話します。
利便性の面を聞くと「朝、欠席の連絡は8時30分ごろにと決まっていたのですが、スマホアプリなら『登所できない』と分かった時点で連絡を入れることができるので、かなり便利です。さらに、例えば帰りのお迎えを誰かに頼んだ時に、アプリから降所の確認ができるので、『ちゃんとお迎えに行ってもらえたんだな』ということが分かり、安心感があります」と話してくれました。
書類作成のデジタル化のメリットは、保護者も感じているようです。「毎月のおたよりはアプリで見ることができるため、ふと『明日の持ち物は?』など気になった時に、出先でもすぐに確認できます。紙の場合は手元にないと確認できません。アンケートの配信も、出先などのちょっとしたすき間時間で回答することもできるので、便利です」と、どこでも手軽に確認できるデジタル配信も高評価のようです。
今後、積極的に使ってみたい機能を聞くと「身長・体重などの記録が保存されていることに、この前気づきました(笑)。自動的にグラフになっているので、子どもの成長がわかりやすくていいなと思いました」と福島さん。作業コストをかけることなく、サービスの質の向上を図ることができた、DXの良い事例となりました。
○朝、登所したら専用リーダーにスマホのQRコードを読み込ませれば登所登録完了です。
○子どもの情報をアプリに入力すれば、複数台で共有することもできるので、例えば朝はお父さんが送り、帰りはお母さんが迎えに行くという時にも便利だそう。