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【特集】物流×DX 小人化につながる機器を積極的に導入し持続可能な流通センターをめざす

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三重県桑名市

教えてくれたのは…
株式会社カインズ 物流インフラ開発部
部長 石那田 篤(あつし)さん

■中京圏や西日本へのアクセス良好な桑名
多度町にあるカインズ桑名流通センターは、令和元年ごろから構想がスタートし、昨年に竣工した流通センターです。カインズの商品は海外から輸入されるものが多く、これまでは全て群馬県太田市にある「太田流通センター(マザーセンター)」へ集約されていました。しかし、物流の2024年問題(※1)への対応に迫られ、中部や西日本エリアの店舗配送の距離や時間を短縮するため、西側の流通センターを立ち上げることになったのです。
西日本や中京エリアにある既存店舗へのアクセスを考えた時、桑名という立地に魅力を感じました。加えて、今後大山田PAがスマートICになる予定であることも伺い、より利便性が高くなることを見据えています。

■商品配送のための輸送距離を半減
北は北海道、南は沖縄まで店舗を構えているカインズ。物流の仕組みは、まず海外からの輸入商品が東京港または名古屋港に到着し、マザーセンターへと輸送されます。そこから店舗へ配送するための商品仕分けを行う各地のTCセンターへ商品を配送します。そのため、これまでは太田流通センターから西日本へ、陸路を使って大量の荷物を運ぶ必要がありました。
しかし、桑名流通センターができたことにより、西日本への輸送距離や時間は大幅に短縮。長距離輸送の削減により、CO2の削減にもつながっています。

■自動化できるところをみんなで考える
一般的に、ホームセンター業界はDX推進が難しいと言われています。その理由は、取扱商品が大きなものから小さなもの、軽いもの、重いものと多種多様かつアイテム数が膨大だからです。そこで、社内にプロジェクトチームを立ち上げ、各メーカーに相談しながら「私たちの物流で自動化できるところはどこなのか」をとことん考えました。
一番頭を悩ませたのは、多種多様なマテハン(※2)を導入しても横の連携がなければ、望む生産性が得られないという点です。そこで、マテハン同士を連携させる倉庫運用管理システムを導入しました。

■小人化につながる機器により人手不足を解消
桑名流通センターには、当社初の試みとして無人搬送車を35台導入しました。従来は人がフォークリフトを操作して行っていた搬送作業をロボットが行います。上位システムと連携しているため、出荷の指示が入れば自動的に無人搬送車が商品を搬送します。「デパレシステム」は、パレットからの荷下ろしをロボットが担います。オペレーション自体はシンプルなので、働き手への負担は軽減され、また、人手不足の解消にもつながりました。しかし、当初の設計と現場とのズレを改善して最大の効果を発揮させ、さらにそれらを水平展開していくことが重要だと考えています。

(※1)トラックドライバーの時間外労働時間の規制により、輸送能力が不足し、モノが運べない、モノが届かない可能性が懸念されていること。
(※2)「マテリアルハンドリング」の略。物流現場においては、資材や部品などの移送や搬送において小人化・省力化に利用される機器のこと。

《環境負荷軽減の取り組み》
▽太陽光発電+LEDなどにより環境へ配慮
建物屋上に太陽光発電パネルを設置。約2.7メガワット(一般家庭の約800世帯分の年間電力量に相当)を発電することが可能で、施設で使用する電気を一部賄っています。また、全館LED照明を採用し、環境へ配慮しています。

▽パレットの一部にOBP素材(海洋再生パレット)を採用
海に流れ出る可能性のあるプラスチックごみを回収し、リサイクルした素材「OBP」をパレットの一部に利用しています。カインズが掲げる「2050年カーボンゼロ達成目標」への取り組みの一環です。

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〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

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