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市長コラム Vol.143(2024.6.1)

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三重県津市

■変わり続ける津センターパレスビル
津市長 前葉 泰幸

□中心市街地に登場した大型公共ホール
昭和60年、旧市役所跡地に第3セクター方式で建造された大型商業施設、津センターパレスがオープンしました。商業棟とホテル棟から成る津センターパレスビルはキーテナントにダイエーと津都ホテルを迎え、商業棟の5階・6階部分には床面積1,008平方メートル、552人収容の津市センターパレスホール(センパレホール)が設けられました。
当時、周辺地区に同様の機能を有する施設は、定員290人の旧中央公民館ホールと定員1,300人の旧三重県文化会館しかありませんでした。津市は、文化・芸術の向上と経済活動の振興に寄与する公共ホールを津センターパレスビル内に整備することを決め、(株)百五銀行から2億6,500万円の寄付を受け、ビルの所有者である(株)津センターパレスからホール部分を区分所有建物として購入しました。敷地利用権は同社との使用貸借契約により無償で付与されました。

□類似ホールの供給ラッシュ
センパレホールの利用率は、オープン当初こそ70%台だったものの、その後、津リージョンプラザお城ホールやアストホールなどの公共ホールや類似の民間施設が次々と整備されるに従い、低下傾向が続きました。津市が平成18年の合併により旧市町村の文化施設を引き継ぎ、自ら合計11のホールを保有するに至ったころには50%前後で推移するようになり、令和に入ると新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響で30%台まで落ち込みました。

□管理費と設備投資の負担
センパレホールの供用開始から38年が経過し、老朽化による施設改修の時期を迎えた令和5年春、津市は、利用率が長期に渡って低迷するホールの現状を踏まえ、今後の管理運営の在り方について検討を開始しました。
自治体が所有する文化・芸術関連施設は、使用料を比較的低廉に設定することもあり、管理経費を収入で賄うことができないのが通例です。
センパレホールもその例外ではなく、年間管理経費約1,900万円に対し、使用料収入は約600万円。年間約1,300万円の公費負担により運営が成り立ってきたわけですが、これに加えて、老朽化対策として空調設備の更新に9,000万円、内装改修を含めると1億3,000万円の設備投資が先送りできないところまできていました。

□飲食可能なホールとしての希少価値
一方、この厳しい運営状況の下で注目すべき点は、令和のコロナ禍でイベント・集会などが激減した中にあっても、センパレホールに関しては会食を伴う利用が4割にのぼり、飲食の提供が可能な大規模イベント・コンベンションホールとして一定の需要があったことです。
時代とともに中心市街地の商業機能が低下し、国道23号の西側がオフィス街としての顔を持つようになる中、多目的な利用が可能なセンパレホールは、文化・芸術関連イベントより会議、宴会利用の割合が増加しており、今後、その傾向がいっそう強まることが予想されます。
飲食を伴う会合に適した会場として重宝されるようになったセンパレホールは、行政が多額の設備更新費用を負担してその存続を図る必要性を問われるほど公共財としての役割が低下した反面、民間事業者にとっては、立地的に確実な商用利用が見込まれ、設備投資の資金を要したとしても所有する価値のある物件です。商業棟のセンパレホールとホテル棟の宴会場がビル内の同じフロアで隣接し、厨房設備、パントリーなどのバックヤードが直結していることも有利な条件の一つです。

□公共ホールの民間譲渡
令和5年5月、津市はこの分析結果を基に、センパレホールを民間事業者に売却する方針を固め、市議会との協議を経て、まずは、津センターパレスビルの津市以外の唯一の区分所有者である(株)津センターパレスとの交渉を開始しました。
(株)津センターパレスは、ビルの所有者として、テナントへの賃貸業務を行っています。都シティ津撤退時には、新たに(株)リオ・ホテルズの誘致に成功し、客室が大幅にリニューアルされ、新しく温泉大浴場が備わった「ホテル津センターパレス」として生まれ変わらせた実績を有します。
同社はこのホールについても新しく有効活用を図る目途(めど)が付いたとして、同年10月、不動産鑑定価格に基づき津市が示した予定価格1,069万円で購入する意思を表しました。
本年1月、両者は売買契約を締結し、4月、センパレホールの所有権は(株)津センターパレスに移転しました。津市は今年度からホールの管理経費と新たな設備投資費用を負担する必要がなくなり、逆に、ホール部分の固定資産税収入を得られるようになりました。

□大規模バンケットホールとしての再生活用
旧津市センターパレスホールは、ビルの所有者(株)津センターパレスからリオ・ホテルズグループに賃貸されることが決まりました。
会議場・宴会室として55平方メートルから360平方メートルまでの各種会場を有する新ホテルは、1,008平方メートルの旧センパレホールをそのラインナップに加え、大規模バンケットホールとしてパーティーや結婚披露宴会場として活用するべく、現在、改装工事を進めています。
建築後40年を迎えようとする津センターパレスビルは、今後も新たな魅力を加えながら変化を重ね、大門・丸之内地区の賑(にぎ)わい拠点にふさわしい姿を目指してまいります。

ケーブルテレビ123chと津市ホームページでは、前葉市長がこのテーマについて語ります
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