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自治体の皆さまへ

(広報津折り込み紙)津市人権教育広報 あけぼの(2)

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三重県津市

■私が気づいたこと・学んだこと・変わったこと
~子どもとの出会いや学ぶ機会を通して~
今回は、大学の教育学部で学びながら外国につながる子どもに関わる活動に参加している中千代さんと、子育てをする親の一人で、PTAの活動を通して多くの保護者や学校の先生と関わっている木原さんからお話を伺いました。

●私が壁を作っていたことに気が付きました。
私は、子どもの頃から小学校の先生になりたいという夢があり、教育学部で学んでいます。大学の授業で外国につながる子どもたちのことを知り、津市が行っている大学見学ツアー※1や就業前日本語教室「つむぎ」※2などに参加しました。そこで、外国につながる人との間に壁をつくっていた自分に気が付きました。(中千代穂香さん・大学生)
※1 外国につながる中学生が日本の大学を見学し、大学を知ることを通して、進路に対する意識を高めるための取り組み
※2 就学前の外国につながる幼児が、戸惑うことなく小学校生活に適応できるよう、日本の学校で行われる授業や活動を体験する取り組み

○外国につながる子どもたちと関わるのが不安だった私
大学見学ツアーに参加し、外国につながる子どもたちと直接関わるまでは、「言葉が通じなかったらどうしよう」「文化の違う子どもたちに、私が良かれと思ってやったことが嫌だって思われたらどうしよう」という不安がありました。
私のグループになった子どもたちの中には、日本語がほとんど分からない子から、ある程度日本語で会話ができる子までいて、私はどんな風に声をかけたらいいのかと考え込んでしまいました。けれど、実際に子どもたちと同じものを見て楽しんだり、普段の学校の話をしたりする時間の中で、少しずつ打ち解け、私の方が感じていた壁が少しずつなくなっていきました。
就学前日本語教室「つむぎ」では、子どもたちも保護者も、最初は不安で落ち着かない様子でしたし、私も「何をしたらいいんだろう?」と不安に思いながら、子どもたちの隣に行って「上手にできたね」など、声をかけていました。
何回目かの授業の時、数字のカードを並べていた子どもが、「できた!見て」と嬉しそうに私に見せてくれました。後ろから見ていた保護者もとても嬉しそうでした。そして、休み時間になると「一緒に折り紙しよ」と私を誘ってくれたんです。その子の笑顔や保護者の安心した顔を見て、私の不安もなくなっていきました。

○壁をつくっていたのは私だった
私は、直接子どもたちと関わる中で、母語が違う子ども同士が楽しそうに遊んでいる様子を見たり、言葉が分からなくても子どもたちと同じ空間で楽しくやり取りしたりすることを通して、「言葉が通じない」「文化が違う」と先入観で壁をつくり、外国につながる人との関わりを避けていた自分に気が付きました。そのことに気付いてから、普段の生活の中でも、一緒に授業を受ける留学生とグループになって活動することや、アルバイト先で外国につながる人に話しかけることなど、以前は避けていたことを自分からやってみようと思うようになりました。
これから出会う子どもたちにも、自分から関わりを持ち、信頼し合える関係をつくっていきたいと思います。

●大人が学ぶことって大切だと感じました。
私も子育てをしている親の一人です。私自身も日々悩みながら子育てをする中で、子どもから気付かされることがあります。PTAの活動では研修を受ける機会や、多くの保護者や学校の先生方とお話する機会があり、そこでも気付かされることが多く、私自身も学ばせてもらっています。(木原剛弘さん・津市PTA連合会会長)

○子どもを知ろうとすること
PTA連合会の研修で聞かせてもらった各地域での取り組みの中で、「子どものことを知るって大事だな」と気付かされる話がありました。ある地域では、「元気で明るい子を育てたい」という思いで、保護者や教職員があいさつ運動に取り組みました。2、3日経った頃、学校の先生に「大きな声を出すのが苦手だから、あいさつ運動をしている前を通りにくくて悩んでいる」と子どもが相談しに来ました。そんな子どもがいることを知り、その子がプレッシャーを感じなくていい方法を保護者と教職員で共に考えたそうです。
この話を聞いた参加者からは「あいさつをプレッシャーに感じる子どもがいると考えたこともなかった。一人一人のことを知ることで私たち大人の関わりも変わると思う」「あいさつは大きな声でするものだと思っていたが、大きな声を出すことが苦手な子も安心してあいさつできるように、何ができるのか考えることが大切だと感じた」という感想が出ました。私自身も、子育てについて学んだり、子どもがどのようなことを思ったり、考えたりしているのか知ろうとすることが大切だと気が付きました。

○子どもの思いを聞くことから
ある日、子どもが「学校に行きたくない」と言ってきたことがありました。私は「学校へは何があっても行くものだ」と親から言われて育ちましたし、一度休むと行きにくくなるんじゃないかという不安もあり、「学校に行きなさい」と言うべきか考えました。でも、以前受けた研修の中で聞いた、まずは子どもの話を聞くことが大事だという話を思い出し、子どもに「どうしたの」と尋ねました。すると子どもは「学校で嫌なことがあったんさ」と話し出し、不安に感じていることを聞かせてくれました。子どもの不安な思いを知り、学校の先生にも相談しました。先生も子どもの思いを聞いて、クラスの子どもたち一人一人の不安が解消できるように取り組んでくれたことで、子どもも学校へ行こうという気持ちになっていきました。
子どものために、この方法が一番良かったのか分かりませんが、一人の親として、子どもを取り巻く大人の一人として、子どもの話を聞き、何ができるのか考えることを、これからも大事にしたいと思います。

第37号
令和6年7月16日発行

問合せ:教委人権教育課
【電話】229-3253【FAX】229-3017

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