地震により家自体は倒壊しなくても、激しい揺れのなかでは、家具や家電が凶器になり、けがをしてしまうかもしれません。
また、物が散乱したり倒れたりしていると避難に時間がかかる恐れがあります。身近なことから始められる室内の地震対策をご紹介します。
■普段の片付けが地震対策に
部屋の中に家具などの物がたくさんあると、地震により物が散乱し、けがの原因となるほか、移動しづらくなる、必要なものが見つからないなど、多くのデメリットがあります。
片付けは、すぐに実践できる地震対策です。物を減らす、物を安全な定位置にしまうことで、地震による被害を軽減することができます。
・重い物や割れ物を頭より上に置かない
・納戸やクローゼット、備え付け家具などに荷物を集中収納する
■避難路を確保する
避難は時間が勝負です。散乱したものが避難経路をふさぐことで逃げ遅れ、命に関わることもあるかもしれません。自宅から安全に脱出できるように、次の項目を参考に事前に自宅の避難経路を考えておきましょう。
・避難経路を塞いでしまう可能性のあるものを置かない。
・玄関が開かないといった可能性があるので、自宅から外への避難経路は複数のルートを考えておく。
・就寝時に地震が起こることもあるので、枕元には懐中電灯、スリッパなどを用意しておく。
図.家具の固定方法と効果
ストッパー式器具または粘着マット+ポール式器具(つっぱり棒)≒L型金具
ストッパー式器具または粘着マットとポール式器具の組み合わせで強度がアップ!
■家具・家電の固定
近年の地震による負傷者の30~50%は、家具類の転倒・落下・移動が原因です。家具類をしっかりと固定することで、けがをせずにすむ可能性が上がります。
家具の固定はいくつかの方法がありますが、一般的な強度の順は上図のとおりです。基本的にはL型金具を使い、ビスで固定することが望ましいですが、ビス止めが難しい場合は、つっぱり棒とストッパー式、つっぱり棒と粘着マットを組み合わせると効果が高くなります。
家具を金具で固定するときは、柱や壁の下地のある部分などに金具等を取り付け、じゅうたんなどのやわらかい床には背の高い家具は置かないようにしましょう。器具などでの固定ができない場合は、家具が倒れそうな場所にはベッドを置かないといった配置転換を行いましょう。
また、ガラスの飛散によってけがをすることも多いので、飛散防止フィルムを貼っておくことも効果的です。
■まずは耐震診断で家の状態を知ってほしい
総務課防災対策室
榎本(えのもと)匡伸(まさのぶ)主任
地震による揺れで、倒壊する恐れが高い住宅は昭和56年5月31日以前の建築基準法の基準で建てられた住宅です。家が倒壊したら逃げることもできず、命を失う可能性が高くなります。また、地震発生直後には救助できないと予想されることから非常に危険な状態に陥りますので、該当する住宅をお持ちの方は無料で受けられる耐震診断を、ぜひ受けてほしいと思います。その結果をもとにどのぐらいの揺れで倒壊する可能性があるかを知ったうえで、補強工事が必要なのか判断してもらえればと思います。
また、家を失うと長期間にわたって避難所での生活をしなければならないかもしれません。しっかりと耐震化して家を守ることで、地震後、通常の生活に早く戻ることができるので、ぜひご検討をお願いします。
もし、耐震化ができないのであれば、耐震シェルターの導入や揺れが起きたら外へすぐ逃げられる体制を整えておく。例えば、避難路となるような通路にものを置かない。ガラスに飛散防止フィルムを貼るなどの対策をしておき、逃げれる状態をしっかりと作っておくことが大切です。
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