【用法用量を守って薬を正しく服用!】
薬の効果を正しく得るためには、処方薬でも市販薬でも用法用量を守り適切なペースで服用する必要があります。
◆お薬手帳を持参し有効活用
薬を処方する上でもう一点、重要になるものが「お薬手帳」です。お薬手帳には、その方自身の薬の処方履歴や服用歴を記録しておき、医師や薬剤師はその情報をもとにすることで適切な処置や処方を行えます。近年では、紙媒体でのお薬手帳に加え、スマートフォンでのアプリをお薬手帳として活用することもでき、薬の情報をカメラで登録する、薬の飲み合わせに問題がないか判定するなどの機能も備えています。病院や薬局を訪れる際は必ずお薬手帳を持参し、医師や薬剤師に提示できるようにしておきましょう。
[MEMO]アプリでのお薬手帳機能(一部抜粋)
・薬の情報をカメラ撮影で登録
・飲み忘れを防止するアラーム機能
・薬の飲み合わせが問題ないかをチェック
・マイナ保険証との服用情報連携
・薬局を予約して待ち時間短縮
※利用するアプリによって機能は異なります。
▽服用管理にマイナ保険証
マイナンバーカードを保険証として利用していれば、過去の診療情報や処方薬の履歴を確認でき、電子版お薬手帳として活用できます。ただし、機器の不具合などに備えて、お薬手帳と並行して服用情報を記載しておくことをお勧めします。
◆残薬の取り扱いを考えて
医師が処方した薬を症状がよくなったからと使い切らずに保管している―そんな薬を残している家庭も多いかもしれませんが、処方薬は使い切ることを前提にしているため、むやみに中断することは好ましくありません。また、それぞれの人に合わせて処方しており、処方された方以外への服用も想定されていません。処方薬は処方された方が必ず使い切りましょう。
加えて、処方薬を服用して眠気や下痢、便秘、頭痛のような副作用が感じられた場合は自己判断で薬の服用をやめるのではなく、早めに医師や薬剤師に相談するようにしてください。他にも骨髄抑制、肝機能低下、腎機能低下など自覚症状がない副作用が起こる可能性もありますが、医師が定期的な血液検査などで確認しています。
▽三重北医療センター菰野厚生病院
薬剤部長
藤田(ふじた)征志(まさし)さん
医師が処方する薬は、症状に対して必要な用量を処方しているので、例えば抗ウイルス薬を飲んでいた場合に途中で服用を中断してしまうとウイルスが増加してしまう、あるいはウイルスが薬への耐性を獲得してしまう、といった恐れもあります。症状が改善してきたからといって勝手に中断しないようにしましょう。処方薬も市販薬も用法・用量や副作用の説明が記載されていると思うので、必ず読んでから服用するようにしてください。
[MEMO]残薬を保管する注意点
薬を保管する場合は、保存期間が短いものは半年以内、保存のきくものでも3~4年以内に使用し、変色やカビなどが発生していないかをよく確認してください。
・直射日光を避け、涼しいところに保管
・冷所保管の薬品は冷蔵庫での保管〇
※ただし凍らせるのは×
・使用に困る残薬は薬剤師などに相談
【身体に害を及ぼす薬違法薬物にも注意!】
◆身を滅ぼす違法薬物の存在
身体に有益な薬が多くある一方で使用者の身体に害を及ぼす麻薬、覚せい剤、大麻、コカイン、危険ドラッグ等の違法薬物の存在も忘れることはできません。違法薬物の中でも近年では覚せい剤よりも大麻の検挙数が全国的に増加しており、三重県内でも令和5年は29件が検挙されています。このような大麻の検挙数増加は、インターネットの通販サイトなどを通じて容易に誰もが入手できることが要因のひとつであるとされており、暴力団の資金源にもなっているといわれています。また、覚せい剤の検挙者の7割が40歳以上であることに対して、大麻の検挙者は7割が20歳以下であることなど若年層に大麻が蔓延していることも問題視されています。
違法薬物の使用は、使用者の健康が害されるだけでなく、各種犯罪発生の要因にもなるなど注意が必要です。違法薬物には近づかず、使用しないことが一番の対策になります。
[MEMO]三重県内の薬物検挙人数
▽麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動
実施期間:10月1日~11日30日
厚生労働省と各都道府県が主催となって麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動が、毎年、上記の期間に実施されています。違法薬物の乱用によって起こる危害を周知し、麻薬、覚せい剤、大麻、シンナー、危険ドラッグ等の薬物乱用の根絶を図っています。
▽四日市西警察署
刑事課長
濱口(はまぐち)哲啓(てつひろ)さん
検挙数が増加している大麻ですが、現行の大麻取締法では大麻の使用に対する罰則はありませんでした。しかし、令和6年中には大麻も麻薬に位置づけられ、所持や譲渡などに加え、使用も禁止される見通しです。違法薬物の使用は不幸の種しか生みません。本人も家族も不幸になり、薬物依存による悪影響も深刻なものです。使用しないことが一番の対処法なので、身近にある誘惑や勧誘には決してのらず、違法薬物には無縁の生活を送りましょう。
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