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【特集】栄光の瞬間(とき)スポーツで輝く(2)

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三重県菰野町

■朝明アルパインクラブ 小寺教夫(KODERA NORIO) ISMFスキーモ日本代表
PROFILE
いなべ市在住。菰野町に拠点を置く朝明アルパインクラブ、三重県山岳・スポーツクライミング連盟所属。45歳。身長178センチ、体重63キログラム。
2007年、菰野町役場に入庁し、社会教育課、水道課などを経験。20代後半から自然の山を滑るバックカントリースキーをはじめ、34歳で競技スキーの大会へ初出場。競技に専念するため2017年、菰野町役場を退職。スキーモ競技で2018-2019シーズンにアジア人初のワールドカップ全戦出場、年間総合ランキングで自身最高の26位を獲得。2019年、2021年、2023年に世界選手権日本代表に選出、2025年にスイスで開催される世界選手権に日本代表として4回目の選出、出場予定。

◆鈴鹿の山から世界の山へ
鈴鹿山脈でトレーニングを重ね、雪深いヨーロッパの山々に挑む。険しい雪山を上り、そして下る「スキーモ」という過酷な競技で世界各地の大会に挑戦する小寺選手の姿を追いました。

▽雪上のトレイルランニング
降り積もった雪山をスキーで駆けるスキーマウンテニアリング、通称「スキーモ」という競技を皆さんは知っていますか。スキーモは、雪上のトレイルランニングともいわれ、スキーで山上から滑り降りるだけでなく、スキーで斜面を登り、急斜面や岩場などではスキーを外してザックに取り付け、ブーツ歩行で通過し、雪山の道なき道を走り続けてゴールを目指す競技です。そんな過酷な競技に30代半ばから取り組みはじめ、40歳を過ぎても世界選手権に日本代表選手として挑戦し続ける小寺選手。鈴鹿山脈の御在所岳や竜ヶ岳などを主なトレーニング場とし、夏も冬も山々の中で自身を鍛え、高みを目指しています。

▽スキーモ黎明期に見る景色
10年間勤めた菰野町役場を退職し、公務員という立場を捨てて37歳で競技者としての選択をした小寺選手ですが、メジャーなスポーツとはいえないスキーモという競技に取り組むことは不安も多かったといいます。それでも自分の力を信じ、幾度となく海外遠征などを続け、2018年~2019年のシーズンではアジア人として初めてとなるワールドカップ全戦に出場し、短距離で競い合う「スプリント」という種目で世界6位、年間総合ランキングでも自身最高の26位を獲得するなど実績を残します。2019年からは世界選手権の日本代表にも3回連続で選出され、日本におけるスキーモ競技の第一人者となっています。「競技のレベルが成熟する前の黎明期にしかないチャンスを得て、アジア人として誰も見たことがない景色を初めて見ることができた」と小寺選手はこれまでを振り返ります。

▽目指すは冬季五輪への出場
競技で使用するスキー板は通常のスキー板の半分ほどの重量しかなく、板、ブーツ、金具などを全て含めても片足約1・5キログラムで徹底的に軽量化されています。登りではスキーにシールと呼ばれる滑り止めをつけて登高し、下りはそのシールを外してブーツの踵(かかと)を板に固定し、時には時速100キロメートルを超える速さで滑降します。「スキーモはスキー競技の中でも何でもありの種目。人工物など一切ない景色に触れた時は、競技中であっても見惚れてしまうほど」と小寺選手は語ります。日本選手権には200人ほどしか出場しませんが、ヨーロッパの大会では1000人以上で競い合うといい、その活躍の舞台のほとんどはヨーロッパの山々です。「イタリアやノルウェーの山は本当に美しい。そんな素晴らしい景色を競技で味わえることもスキーモの魅力のひとつです」。
現在の一番の目標は、新種目として初めてスキーモが取り入れられる2026年にミラノ・コルティナダンペッツォで開催される冬季オリンピック出場。小寺選手は雪が少なく練習には不向きとされる中、地元の鈴鹿山脈でのトレーニングに拘り、夏はローラースキーでのトレーニングなどに励んでいます。小寺選手の合言葉は「鈴鹿の山から世界の山へ」。鈴鹿山脈が生んだ遅咲きのアスリートは、さらなる高みを目指して鈴鹿の山から世界の頂いただきへ登り詰めようとしています。

◆小寺選手コメント
自宅から見える山並みの中でトレーニングを行い、世界を目指すと決めて競技に取り組んでいます。御在所岳をトレイルランニングで走って登ったりと、雪がなくても地元の山でできる練習と環境があるので、ウィンタースポーツは雪国のためだけのものではないと実証するためにも冬季五輪の出場に向けて集中しています。そして、いずれはヨーロッパで楽しまれているように滑るだけではなく、スキーで歩くことで得られる爽快感や雪山の楽しみ方などを多くの方に伝えられるような活動に繋げていければと考えています。

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