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重要無形文化財と伊勢型紙の技

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三重県鈴鹿市

■伝統工芸技術の保存と伝承
無形文化財とは、歴史上または芸術上価値の高い演劇、音楽、工芸技術などの、昔から守り伝えられてきた人間の「技」そのもので、その技を体得した個人または集団によって体現されます。無形文化財の中でも特に重要であると国が指定したものを、重要無形文化財といいます。
その中の1つに、本市が誇る伊勢型紙の彫刻・糸入れ技術が指定されており、伊勢型紙技術保存会が技術を伝承する保持団体として認定されています。全国重要無形文化財保持団体協議会は、伊勢型紙技術保存会を含む16団体と24の関係市町村から構成され、日本の伝統的な工芸技術を守り伝えています。
今年10月、14年ぶりに「全国重要無形文化財保持団体協議会鈴鹿大会」が開催されます。全国の保持団体が一堂に会し、会議や展示会(秀作展)などが行われ、展示会は一般の方も見学できますので、卓越した日本の「技」に、ぜひ触れてください。

■鈴鹿が誇る伊勢型紙の技
伊勢型紙は、友禅や小紋などの着物の生地に柄や模様を染めるために使う道具で、白子・寺家両町を中心に栄えた記録が残っています。発祥は定かではありませんが、特に隆盛を極めたのは江戸時代に入ってからのことで、徳川御三家の一つ紀州藩の威光を借り、型紙商人が全国へ行商に出かけたことから飛躍的に発展しました。
伊勢型紙の製作技術には、突彫(つきぼり)・錐彫(きりぼり)・道具彫(どうぐぼり)・縞彫(しまぼり)の4種類の彫刻技法と、染織時に型紙がくずれないように補強する糸入れの技法があります。いずれも長い歴史の中で、親方が弟子にその技術を継承する形で受け継がれてきました。しかし、服飾文化の変化により、着物の需要が減少し、それに伴い型彫職人も減少しているため、技術の保存と後継者育成が課題となっています。
鈴鹿が誇る伊勢型紙の彫刻技術は「最高の手わざ」であり、絶やしてはなりません。伝統を守りながら、次の世代へとつないでいきたいものです。

◇突彫
最も古い技法で、型地紙を穴板の上におき、小刀で垂直に突くようにして曲線・折線を彫ることから、絵柄模様を彫るのに適している。

◇錐彫
小さな丸の連続によって図柄が構成され、小紋型に用いられる。「鮫」「行儀」などの種類がある。刃先が半円形の彫刻刀を回転させて穴を空ける。

◇道具彫
小刀自体が桜・菊などの花弁のように一つの形に作られ、そのままひと突きで抜く。

◇縞彫
小刀と鋼の定規を使って縞柄を彫る。単調なようで、線がわずかにずれると柄に狂いが生じる難しい技法。

■伝統の技が14年ぶりに集結
『重要無形文化財保持団体秀作展 日本の伝統美と技の世界』
日時:10月18日(金)~27日(日)9時30分~16時30分
場所:三重県総合博物館(MieMu)交流展示室ほか
内容:
展示…各団体紹介、作品と紹介パネル、製作工程パネルなど
実演…19日(土)・20日(日)色鍋島・伊勢型紙、26日(土)・27日(日)輪島塗・本美濃紙・伊勢型紙
料金:無料

※30回目となる秀作展の情報について、公式Instagramでお知らせします。
ぜひ、ご覧ください。

伊勢型紙を含めて、全国には16の重要無形文化財保持団体が存在します。
後継者不足、原材料の確保などの課題を抱えながらも、優れた伝統的工芸技術の伝承と保存活用を図るために、日々、取り組んでいます。
この機会に、伊勢型紙だけでなく全国の「技」を市民の皆さんにも見ていただき、知ってもらいたいです。ぜひ秀作展へお越しください。
伊勢型紙技術保存会
会長 今坂千秋(いまさかちあき)さん

今回の特集に関するご意見・ご感想は
問い合わせ:文化財課
【電話】382-9031【FAX】382-9071【E-mail】bunkazai@city.suzuka.lg.jp

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