■ストックホルム症候群とドメスティック・バイオレンス
1973年、スウェーデンのストックホルムで銀行強盗人質立てこもり事件が発生しました。人質解放後、犯人が寝ている間に人質が警察に銃を向ける、人質が犯人をかばい警察に非協力的な証言を行うなどの行動が判明し、犯人と人質との間に生まれた心理的つながりや反応は「ストックホルム症候群」と呼ばれました。
人質は、死ぬかもしれないという状況に置かれ、犯人から食べ物をもらう、トイレに行く許可を得るなどするうちに、犯人の小さな親切に感謝し、好意的な印象を抱くようになりました。犯人側も人質に心を許すようになり、次第に犯人と人質の間に心理的なつながりが生まれていったのです。
恐怖を感じる危機的状況に直面すると「闘争・逃走(fightor-flight)」反応を示すと、1929年に生理学者であるキャノンが提唱しています。動物が敵に襲われそうになった時、闘うか逃げるかを判断するというものです。他に、恐怖で体が固まる「凍結(freeze)」反応、脅威に屈服し自身を無害に見せる「放棄(forfeit)」反応が提唱されています。闘うことも逃げることもできず、体が凍りついて動けなくなり、相手に従うことで被害を最小限に抑えようとした結果、被害者が加害者をかばうような言動を見せる場合があります。これは、恐怖に直面すれば、誰にでも起こる反応なのです。
配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力「ドメスティック・バイオレンス」でも、このような反応が生じることがあります。相手の機嫌を損ねるのを恐れ、自分の気持ちが言えなくなり、自尊心を奪われ、無力感に襲われます。
11月12日から25日は「女性に対する暴力をなくす運動」期間です。ひとりで悩まず、まずは相談してみませんか。
問合せ:市民課人権・市民交流係
【電話】25-1126
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