~海のレッドデータブック~
この秋、鳥羽市は「鳥羽市海のレッドデータブック2023~鳥羽市の絶滅のおそれのある野生生物~」という本を作成、出版した。鳥羽市立図書館などで読むことができる(購入も可能だが、一般書に比べると高価)。鳥羽海域の海棲哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類、貝類、甲殻類、無脊椎動物、そして海藻、海草類のなかで環境の変化や人間活動の影響などによって数が減り、今後見られなくなってしまう可能性のある生き物のリストである。
重要で貴重な情報であることはわかるが、これを読むと何の役にたつのか。まず、読むと面白い。写真がきれいで説明も充実しており、生息域の状況、その変化などもよくわかる。コラムやQ and Aコーナーもあり周辺知識も学べる。ニホンウナギ、イガイ、サガラメ(あらめ)、アマモ、ヒジキなどみんなが知っているような種だけでなく、名前を聞いたこともないような生き物がたくさん載っており、そこから想像するに、鳥羽の海にはこれ以上にたくさんの生き物が環境から影響を受けながら、お互いに影響を及ぼしながら生きていること、そのごく一部がイワシやサワラ、ブリやアワビなどのように我々や鳥羽を訪れるお客さんの食卓に並ぶのだろうということがわかる。海が我々に与える影響や我々が海に与える影響を理解することをオーシャンリテラシー(海とうまく付き合うためのお作法)と呼び、今後身に着けていかなければいけない感覚である。海洋観光都市の鳥羽ではこういうお作法を訪れるお客さんたちにも伝えていきたいものだ。いろんな素材、景観やもてなしで伝えていくわけだが、その時の一つのツール、話のネタにしていただければと思う。
問合せ:水産研究所
【電話】25-3316
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