■病と差別
新型コロナウイルスの感染が拡大するとともに、ウイルス感染者や医療従事者などへの「コロナ差別」が問題となりました。感染への不安や恐れが、差別行動への引き金となるのです。
病に関する差別は過去にも起きています。結核は1950年代まで日本での死因ワースト1位で、大きな健康被害をもたらしました。感染が咳や呼吸で広がることから、患者の家の前を息を止めて通る、その家の人と関わらないよう話をされるなどの差別がありました。治療薬が無い時代、療養所に入れない患者はやむなく自宅待機となり、結果として家庭内に感染が広がり「結核の家系」とみなされ、結婚や就職などで差別されることもありました。
また、らい菌が主に皮膚と神経をおかす慢性の感染症であるハンセン病でも、差別がありました。ハンセン病患者は遠く離れた島や隔離された施設へ追いやられ、社会から疎外された状態で生涯を過ごすことを余儀なくされました。らい菌の感染力は弱く、感染したとしても発病することは極めてまれです。現在では治療法も確立しており、早期発見と適切な治療により後遺症も残りません。しかしながら、ハンセン病に対する正しい知識と理解はいまだ十分とはいえず、周囲の人々の誤った知識や偏見が差別の原因となっています。
病から生じる差別は、病に冒された苦しみに加え、差別を受けるという二重の苦しみの原因となります。
病から生じる差別を防ぐには、疾患について正しい知識を持つことが鍵となります。病気を理由に差別しない、職業や属性だけでレッテルを貼って排除しない環境を社会全体で育てて、病という脅威に一丸となって立ち向かっていくことが大切なのです。
問合せ:市民課人権・市民交流係
【電話】25-1126
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