■企画展「漁具は何からできている?~天然素材からプラスチックへ~」
同じ獲物をとる漁具で、形はよく似通っていても作られた時代によって材質は大きく異なることが多々あります。
例えば漁網について言えば、古くは麻糸や綿糸、ものによってはわら縄ということもありましたが、昭和30年代頃から化学繊維のものが普及し始めました。網に付属する浮子(アバ)は木や焼き物であったのがプラスチックへと、竹で編んでいたカゴも、金属やプラスチック製に移行していきました。
イカ釣りやカツオ一本釣りなどの疑似餌(ぎじえ)は、現在では既製品でよいものがたくさんありますが、かつては使用する当人が、素材や形状・色彩などを何度も変え、試行錯誤しながら完成させていました。その作り方はまさに漁師の命、企業秘密でした。いい漁師は、魚をとるのがうまいのはもちろん、漁具を作る技術にも秀でていたと言えます。
今回の展示では漁具の材質的な変化を通じて、獲物の習性や海中の地形、海流の変化などを鋭い目で見極め、さまざまな工夫をこらしてきた漁民の知恵と苦労の歴史を感じていただきたいと思います。また、不可抗力ながら破損して海に流出してしまっている、プラスチック製漁具の問題についても少しご紹介します。
漁具の材質を見ることで、漁業や海洋環境の〝むかし・いま・これから〟が見えてくるはずです。
期間:4月20日(土)~6月25日(火)
問合せ:市立海の博物館
【電話】32-6006
<この記事についてアンケートにご協力ください。>