会期:10月20日(日)まで
場所:海の博物館・特別展示室
人物やそのほかの生きもの、物品、地名などの正式名称以外で、あだ名のように使用される呼称を、異名、俗称、通り名、二つ名などと言います。その呼び方は対象の形状や性質、歴史を非常によく反映させていることもあれば、見た目の印象や思い込みだけで命名され、実態とは異なるイメージを植え付けられてしまっている場合もあります。
海の生きものを「海の〇〇」とたとえた表現を、メディア上で目にしたことのあるかたも多いのではないでしょうか。夏休みの展示は、そんな異名を持つ生きものたちについて、「たとえ」を切り口にして、生態の面白さや多様性、意外な(?)栄養価の高さ、利用の歴史などを学んでいただくことを目的に企画しています。
なお、そのたとえを誰が、いつから言い始めたかというのは判然としないことも多く、その点は何卒ご容赦いただければ幸いです。
I.海のギャング/サメ、シャチ、ウツボ
サメなどは鋭くとがった歯でみさかいなく獲物に襲いかかるどう猛な性格、というイメージを持つかたが多いかもしれません。しかし実際、人間に危害をおよぼす危険があるとされるのは、世界で500種ほどのうち、5種程度です。シャチで言えば、アイヌでは油や肉を古くから利用し、シャチが追いかけることで海獣類が海岸に打ちあげられたり、魚群の位置がわかるなど、人間に恩恵をもたらしてくれることから、「レプン・カムイ(海の神さま)」として感謝する信仰もありました。
II.海のミルク/カキ
鳥羽市で養殖が盛んなカキと言えば、まろやかな味わいと高い栄養価から「海のミルク」の呼称がよく知られます。
展示ではカキの栄養価や養殖方法の基本、身を食べた後のカキ殻の有効利用とともに、紫外線で殺菌した海水を使った浄化方法の開発により、志摩半島におけるカキ産業発展の礎いしづえを築いた、志摩市的矢の故・佐藤忠勇氏についても、若干ながら紹介する予定です。
III.海のパイナップル/ホヤ(マボヤ)
ホヤの仲間は形状や模様が実に多様ですが、マボヤの独特の食感や味は多くの人に愛され、特に三陸地方の夏の味覚となっています。
赤黒い色をしていますが、だ円形で表面に多くの突起がある形状は、よくパイナップルにたとえられます。1831年に刊行された『魚鑑』(武井周作/著)には、「ほやほや笑う」(嬉しそうな笑み)という言葉にちなみ、仙台では慶事の食膳に利用したとあります。
上記のほかにも、「海のギャング」としてウツボ、「海の緑黄色野菜」として海藻、「海の悪魔」のアンコウ、「海の栗」のウニなどを紹介しています。
■付属イベント
(1)サメの歯とウニのトゲでストラップづくり
サメの歯や、パイプウニのトゲを使って、オリジナルのストラップをつくりましょう。
日時:8月12日(月・振)午前10時~午後3時*時間内にて随時受付
場所:海の博物館・体験学習室
参加費:800円(事前申込不要、ほか要入館料)
(2)たとえるならばどんな臭い?海のくさ~い食べものオールスターズ
世界一くさい食べものと言われるスウェーデンのシュールストレミング(ニシンの塩漬け)や、世界で2番目とされる台湾のホンオフェ(発酵させたエイの切り身)などの臭いに挑戦しましょう。
日時:10月13日(日)午後1時30分集合 *雨天延期
場所:海の博物館・映像ホールと敷地内屋外
参加費:入館料(事前申込不要)
問合せ:市立海の博物館
【電話】32-6006
<この記事についてアンケートにご協力ください。>