スタンフォード大学(アメリカ)とトロント大学(カナダ)の研究者らが設立したスカイラボと京丹後市が連携。将来グローバル社会で活躍し市の発展を担う人材育成を目指します
■新しい価値を生み出す人材を育成
近年、急速にネット社会が進み、コミュニケーションがオンライン化され、国内だけではなく海外の人との距離も縮まったことでグローバル化が加速しています。また、声に反応するスマート家電やスマートフォンの自動決済などあらゆるモノがデジタル化され、社会は目まぐるしく変化しており、これからの社会を生き抜く子どもたちには、「新しい価値を生み出す力」が求められています。
中学3年生対象の「令和3年度全国学力学習状況調査」における学習状況では、本市生徒の「自己達成力」「挑戦力」「奉仕心」「地域貢献」は、全国を上回る結果が得られた一方、「自己肯定感」「夢に向かう力」「自己表現力」「対話力」にはやや課題が見られました。生徒の良さを伸ばし、加えて「学びへの意欲向上」や「自己肯定感の向上」、「将来の仕事に対する意識変革」に迫るため、市は教育プロジェクトに着手。ものづくりの素地がある本市は、次世代の発明家や起業家を育成するため「Kyotango Sea Labo」をスタートしました。
■Kyotango Sea Laboとは
最先端の学習方法を研究する海外の大学研究者たちが設立したスカイラボと市が連携して開発するプログラム。ものづくりの新しい発想方法で創造的な考え方を身に付けるデザイン思考(1)とSTEAM教育(2)、英語を組み合わせ、世界で活躍できる人材育成を目指します。
▽Check!
(1)相手の視点で徹底的に気持ちや感じ方に寄り添いニーズを理解して創造的なアイデアを生み出す方法
(2)Science=科学/Technology=技術/Engineering=工学/Art=芸術/Mathematics=数学の5つの英単語の頭文字を合わせた造語。理数教育に文系要素である創造性教育を加えた教育理念
■2回目となるKyotango Sea Labo
8月に実施されたワークショップには、市内の中高生33人が参加。
スタンフォード大学とトロント大学の研究者が来日し、直接指導を行いました。また、市内の先生たちとの交流会も行われ、STEAM教育、探究的な学びの必要性や難しさについて意見が交わされました。
ワークショップには、スタンフォード大学、京都工芸繊維大学、立命館大学、兵庫県立大学などのバイリンガルの学生たちも参加して中高生を支援しました。休憩時間には、中高生の進路や受験相談を受けたりする場面も。
■デザイン思考のワークショップ そこから生まれる喜びと達成感
ワークショップでは、市内事業者の協力もあり、それぞれの分野における挑戦や改良・改善したことなどを生徒たちに伝えました。そこから京丹後の良さや課題を知ることができた生徒たちは、デザイン思考を用いて、数多くのアイデアを出し、何度も話し合いを重ね、プロトタイプ(試作品)を作成しました。デザイン思考は、思い付いたことを声に出し、手を動かして考え形にします。その過程で見えた新しい発見にさらに改善や修正を加え、またプロトタイプをつくる作業を繰り返します。これにより、徹底して相手を中心に考え、ニーズに沿った解決方法を編み出すことができます。
参加した高校生は「Sea Laboは、これまでの知る授業とは全く違いました。英語を使ってグループでアイデアと議論を繰り返し、何度も改善しながら辿り着いた答えに、底知れないほどの喜びと達成感を感じました」と熱く語りました。このワークショップで得た経験が、未来の新しい価値を生み出す力になると考え、今後もこの事業を前に進めていきます。
■Kyotango Sea Labo~今後について
海外大学の研究者とのプロジェクトは来年度完了予定。令和7年度からは、市教育委員会が中心となって運営を行い、この研究成果を市内保幼小中学校へ広げていきます。また、来年1月21日、アグリセンター大宮で開催する「令和5年度京丹後市教育フォーラム」で、Kyotango Sea Laboの取り組みについて詳しく紹介します。ぜひご来場ください。
問合せ:学校教育課
【電話】0772-69-0620
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