■「筵(むしろ)と筵織機(むしろおりき)」
福知山市教育委員会 所蔵
「筵(むしろ)織る」という言葉は藁仕事のひとつで、筵織機という道具で筵を作成することをいい、俳句では冬の季語にもなっています。
筵は、主に稲刈りが終わり、外での作業が制約される冬の農閑期に作られていました。かつて多くの家で筵の使い初めは正月とされていたため、家の板の間に敷いていたものを新調するほか、春の農繁期に使用するものや、副業としても作られていました。
写真の筵織機(本紙参照)は、三和町の方から寄贈されたもので、大きさは上部幅141cm・下部幅130cm・高さ105cm・出幅61cmです。本体は、井桁(いげた)状の枠組みと、それを支える基台からなっており、側柱は織り手側に反っています。付属用具には上下の枠木に経糸(たていと)に相当する細縄を回し、筬(おさ)木をつけます。筬木を上下に動かし経縄(たてなわ)に道をつくり、緯糸(よこいと)に相当する藁を差し入れて筬木で打ち締めながら幅約90cmに編み込みます。
こうしてできあがった筵は農家にとっては欠かせないもので、藁の吸水性を生かして豆や大根・梅など収穫物を天日干しすることもあれば、編み目の細かさを生かして米など脱穀や選別する際に収穫物をこぼさないよう敷物にすることもありました。また、農作業の合間に休む時や運動会などの観客席といった敷物として使用するなど、筵は生活に浸透していました。その他、穴が開けば何度も修理し、使い古してしまえば切り刻んで土壁に混ぜ込んで、建材や田んぼへの撒き肥料としたとされます。
稲藁から筵になって再び土に還り、また新しい稲を育むもとになる。筵は昭和中頃まで様々な用途で大活躍していたサステナブルな道具です。
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