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シリーズ 福知山の文化財 収蔵資料紹介(74)

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京都府福知山市

■「稲葉山10号墳出土 円筒埴輪」
福知山市教育委員会所蔵

稲葉山古墳群は、猪崎地区に所在する13基で構成される古墳群です。昭和31年から宅地造成に伴って7基の発掘調査が行われ、5世紀前半から6世紀半ばにかけて築造された古墳群であることがわかりました。
そのうちの一つ、稲葉山10号墳は全長38m、6世紀前半に築造された古墳群唯一の前方後円墳です。出土遺物は円筒埴輪やくびれ部から見つかった形象埴輪のほか、鉄鏃(てつぞく)36点や須恵器などが豊富に出土しています。(稲葉山10号墳の形象埴輪については広報ふくちやま2020年5月号で紹介しています。)
今回紹介するのは円筒埴輪です。文字通り筒状の埴輪で、古墳の周囲を廻っていました。実際に古墳を廻っていた本数は定かではありませんが、十数個体分の円筒埴輪が確認されており、4個体については完形に復元できるものでした。
写真の円筒埴輪(本紙参照)は完形のうちの一つで、高さ55cm、底部の直径20cm、口径32cmです。筒状を呈し、5条の突帯(とったい)が廻り、上から2段目と4段目には透孔(すかしあな)が空いています。この円筒埴輪の特徴は2段目にある方形の透孔です。透孔は一般的に互い違いに穿孔するため、4段目の透孔は写真に写っていませんが、円形の透孔が空いています。透孔は円形が多く、稲葉山10号墳の完形埴輪のほかの3個体の透孔はすべて円形で、この円筒埴輪にだけ方形の透孔が空いています。稲葉山10号墳が築造された時期には方形の透孔が施される事例は少なくなっており、たいへん珍しいものです。
猪崎周辺には非常に多くの古墳群がありますが、稲葉山10号墳はそのなかでも唯一の前方後円墳であり、円筒埴輪が廻るほか豊富な形象埴輪が出土するとても特徴のある古墳です。福知山の古墳時代を知る上で重要な資料です。

問合せ:文化・スポーツ振興課
【電話】24-7065【FAX】23-6537

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