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シリーズ 福知山の文化財 収蔵資料紹介(77)

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京都府福知山市

■「長者森(ちょうじゃがもり)古墳出土遺物」
夜久野町化石・郷土資料館所蔵

長者森古墳は、京都府指定史跡に指定されている大型の円墳で、夜久野町の旧育英小学校グラウンドに所在しています。大きさは直径24m、高さは4・7m、地元の玄武岩を使用した両袖式横穴式石室を持つ6世紀後半頃に築造された古墳です(古墳の詳細は平成27年12月号で紹介しています)。詳細な発掘調査は行われていませんが、明治37年の小学校建設の際に出土した遺物は夜久野町化石・郷土資料館にて保管され、展示されてきました。
本市では、令和元年度から京都府立大学とともに夜久野町にある末窯跡群(飛鳥時代から平安時代にかけて操業していたと考えられる100基を超える窯跡群)の現地踏査を行ってきました。併せて資料館に保管・展示されていた過去の発掘調査資料の再整理を行い、長者森古墳を含む古墳出土遺物を特定するための調査も行いました。その結果、長者森古墳の出土遺物は須恵器11点(杯身7点、杯蓋4点)や鉄刀1本、耳環(じかん)(イヤリング)1点、鉄製馬具(円環轡)1点であることがわかりました。
再整理した遺物を詳細に観察したところ、須恵器は製作技法や形の変遷から6世紀後半から7世紀前半までの時期幅があることがわかりました。このことは6世紀後半に長者森古墳が築造されたのち、数回の追葬が行われた可能性を示しています。また、鉄刀と馬具は築造時の埋葬に伴うもの、耳環は追葬時に伴うものであることも検討の結果判明しました。これらは先人がわずかでも長者森古墳の遺物の記録を残していたことと資料館で大切に保存されてきたことによって得られたものです。
夜久野町化石・郷土資料館は今回の京都府立大学との調査成果を踏まえて考古遺物の展示スペースをリニューアルしました。末窯跡群や長者森古墳など夜久野の古代の貴重な資料をぜひともご覧ください。

問合せ:文化・スポーツ振興課
【電話】24-7065【FAX】23-6537

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