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シリーズ 福知山の文化財 収蔵資料紹介(78)

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京都府福知山市

■「見島(みしま)の鬼揚子(おにようず)」
日本の鬼の交流博物館 所蔵

山口県萩地方では角型の凧のことを「揚子(ようず)」といいます。萩市の北西約45km沖合に浮かぶ見島(みしま)という離れ島には、一家に初めて男の子が誕生すると親族や知人で笠紙(和紙)を持ち寄って「鬼揚子(おにようず)」という鬼の顔を描いた凧を作り、正月に揚げる風習があります。子の出生を祝福し、健やかな成長を願って揚げる鬼揚子。凧を揚げる糸は「イト」ではなく「メイマ」といいます。迷魔とかけているのでしょうか。魔に迷わされないように祈り、高く上がれば上がるほど縁起が良いとされます。
凧あげのあとは、子どもの寝室の天井にこれを下げて常に見せておくと鬼をも恐れない強い子どもに成長するといわれており、小さい鬼揚子を玄関に置いておくと災難除け、商店の店先にあげて商売繁盛など魔除けや福を呼ぶという意味ももっているそうです。
さて、鬼揚子をよく見てみると、目の部分に赤白の紙の房があるのがわかります。これは涙に見立てたもので、鬼の流す涙を見ることで情け深い子どもに成長すると伝えられています。また、鬼はとても強いがその中にも人情があり、それを表す涙ともいわれています。
写真の鬼揚子(本紙参照)は、萩市の方が製作され、日本の鬼の交流博物館に寄贈いただいたものです。縦179cm、横75cm。一般の凧と比べると大きく迫力がありますが、さらに大きいものではタタミ六畳から八畳にもなります。
見島では凧揚げのイベントも開催されており、タタミ一畳ほどのサイズがある巨大な鬼揚子が大空を舞う姿を見ることもできます。
鬼揚子のように色々な思いを込め、独自に発展した風習は、これからも大切な文化として後世に受け継がれていくことでしょう。

問合せ:文化・スポーツ振興課
【電話】24-7065【FAX】23-6537

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