■得た知識を多方面に生かす
舞鶴工業高等専門学校 建設システム工学科
5年 森 美空 さん
舞鶴工業高等専門学校では、授業の一環で災害への備えに関する授業を実施し、毎年多くの防災士の資格取得者を輩出しています。
全国各地で災害が頻発している今、災害への備えや自主防災の重要性、防災士の資格を取得してできるようになったことなどを聞きました。
◇舞鶴愛
舞鶴市出身で慣れ親しんだ街並みや程よい田舎暮らしが好きだという森さん。「これからもずっとこの町に住んでいたい」と笑顔で話す。市内で建築関連の職に就きたいと考えて、大学に行かなくても、地元で同レベルの知識や経験を学べるということで、舞鶴工業高等専門学校へ進学。「今は、卒業研究をしていて、浮世絵に描かれているつり橋の構造が本当に成立するかどうかなど、日本の歴史上の土木分野のことを研究しています」と話す。
◇地域貢献の一環として
同校では、地域社会の発展のための活動などに取り組んでおり、地域交流のきっかけ作りとなる防災士の資格取得に向けてサポート体制が確立している。防災士の資格取得試験を受験するには、防災士事前研修講座を受講する必要があり、同校ではこの講座を授業の一環として行うことが日本防災士機構で認められている。「受講すると、学校の単位も取れるので、私は1年生の時に受講し、資格取得しました」と、照れくさそうに当時を振り返る。「授業では、過去に発生した地震や台風などの自然災害を知り、発生した際の避難方法などを学びました。この他、原子力災害に加えて、原子力発電の有効性などの観点も学び、万が一の事態になった時にも適切な行動が取れるような知識を学びました」と話す。さらに「資格取得した際に、得た知識を周囲の人に伝えることもあり、災害が発生した際に自分の知識が役立つのではと考えています」と力強く続けた。
◇防災ワークショップに参加
3・4年生時に市主催の防災ワークショップに参加。このワークショップは大規模な災害が発生した時、避難者自らが避難所を運営することを想定したもの。安心して過ごせる避難所について、カードを使ってゲーム感覚で学んだ。4・5人のグループに分かれ、各テーブルには防災士の資格を持つ学生がファシリテーターとして入り「避難所に高齢者や子連れの親子が来た時に、どの部屋に入ってもらうかなど、さまざまなケースを想定してグループで考えました。また、参加した市民に『女子トイレが壊れてしまった場合はどうしますか』など、問題提起して、その解決方法などを説明しました」と続けた。
◇経験を生かす
「来年4月からは、建設コンサルタントに就職する予定です。河川整備の計画や河川構造物の設計など防災に直結するインフラ整備に携わる仕事なので、これまで防災士として培った経験やノウハウを生かします」と、防災の知識はこれからの人生でも生かせそうだ。
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