能登半島地震から2か月、東日本大震災から13年が過ぎようとしています。いま一度、地震への備えについて考えませんか。被災地での支援活動に携わった2人から、被災地で感じたことや、普段から心掛けておきたい「避難」の話を聞きました。
■能登半島地震で救助活動に携わった
乙訓消防組合消防本部警防課 第3部指揮隊長 中尾隆之(なかおたかゆき)司令
○助けに行きたくてもたどり着けない
珠洲市での救助活動に2回、携わりました。津波被害もあった地域で、海の近くの建物はほとんどが全・半壊状態。救助活動をするにも、道路の寸断やがけ崩れなどがあちこちで起きていたため、まずは現場にたどり着ける経路を調べなければならず、時間がかかりました。発災直後に出発した1次隊の隊員からは、迂回(うかい)を繰り返し、到着まで2日かかったと聞いています。
○被災地での避難生活は「当たり前」ができない
珠洲市では水も電気も使えない状況でした。避難生活を送るに当たり、特に「水が使えない」状況は、さまざまなリスクを生み出します。トイレやお風呂が使えないので、衛生状態が悪くなる。なるべく使わなくて済むように、と飲食や運動を控えることで、体調を崩す。災害現場では、1つの“不便”がさまざまな問題を引き起こす可能性があります。「水や電気が使えなくなったらどうするか」を考えることも、災害への備えとして大切です。
○「自分は大丈夫」とは思わず日頃からの備えを
地震はいつ、どこで起きるか分かりませんし、地震に伴う災害もどんなことが起きるか分かりません。能登半島地震では土砂崩れもたくさん起きました。山の麓に住んでいる人は普段から、山側を避けて2階で寝るように心掛けましょう。家具など倒れる可能性のあるものから離れて寝るのも大事な「避難」です。
■避難所運営を支援
市役所市民協働部次長兼防災・安全推進室長 中村知行(なかむらともゆき)
○「顔の見える関係」の大切さ
七尾市の避難所運営に携わりました。普段は地域のコミュニティーセンターとして使われている施設で、避難所の運営を地域の皆さんで担っておられたのが印象的でした。皆さん顔見知りで普段からの良い関係性もあったことが、避難所で生活する上での安心につながっていることがとてもよく伝わってきました。長い時間同じ空間で過ごすことになるので、精神的な安心感は本当に大切なのだと感じました。
○普段から、できることから
災害に備えて、避難所の場所を知っておくことももちろん大事なのですが、「そこで長く過ごすことになる」ということも考えた上で、ぜひ地域とのつながりをつくっておいていただければと思います。避難所に行ったものの、知らない人ばかりだった、という状況は心細いはず。まずは日常生活でのあいさつから、始めてみませんか。普段の心掛けが、いざというときの心の支えになりますよ。
■いま一度考えよう地震への備え
○物…備蓄は最低3日分を用意
食料や生活用品など、避難生活で必要になるものを用意しておきましょう。いざという時に「使い方が分からない」ということのないよう、訓練を兼ねて使ってみることも大切です。
○環境…家具の転倒やガラスの飛散、通電火災を防ぐために
たんすや棚などは、寝ている場所や避難経路に倒れてこないよう位置や方向を変えて固定する、窓ガラスには飛散防止フィルムを貼るなどの対策で、命を守る環境を整えましょう。
地震後に発生する火災の原因は、停電後に電気が復旧することによって起きる「通電火災」が半数以上です。感震ブレーカーを設置することで、防ぐことができます。
○行動…シェイクアウト訓練で地震発生時の行動を確認
地震発生を想定し、決められた時刻に職場や家庭で実施する訓練です。(1)まず低く(2)頭を守り(3)動かないの安全行動をとり、いざという時の対応を確認しましょう。
3月11日(月)午前9時30分
(1)午前9時30分訓練開始
FMおとくに、市公式LINE、防災情報お知らせメールで合図します。
(2)数分後、メールなどを配信
FMおとくに、市公式LINE、防災情報お知らせメール、緊急速報(エリア)メールで避難を促す内容を配信します。
問合せ:防災・安全推進室防災・危機管理担当
【電話】955-9661【FAX】951-5410
<この記事についてアンケートにご協力ください。>