■王様は裸だよ
アンデルセン童話の『裸の王様』を知っていますか。こんな話です。
着飾ることが大好きな王様のもとに、二人の機織り職人がやってきます。二人は愚か者には見えない特別な糸で布を織り、それはそれは美しい服を仕立てるというのです。仕立てあがった服を着た王様は、従者を連れて盛大なパレードを行うのですが、実は王様は裸なのです。でも、王様も従者も街(まち)の人たちも、自分が愚か者だと周りの人たちに思われたくないので、服が見えているように振る舞って、口々に王様の服を誉(ほ)めます。そんな大人たちの様子を見て、一人の子どもが「王様は裸だよ」と言いました。見えたままの真実を教えてくれたのは子どもだったというお話です。
一見当たり前に思えることでも、素直な『子どもの目線』で見つめてみると、子どもに説明できないおかしなことがたくさんあることがわかります。例えば『女人禁制』や『六曜』、住所で人の値うちに差をつける『部落差別』…。
きっと、多くの人はおかしいと思っているはずなのですが「昔から言われているから」という周りの意見に同調してしまう傾向にあるようです。空気を読んだり、忖度(そんたく)することが日本人の美学なのかもしれませんし、優しさや思いやりの一つの形なのかもしれません。しかし、優しさや思いやりだけではおかしなことは無くせません。「王様は裸だよ」と教えてあげることもできないのです。
おかしなことが気になったら、童心に帰って身近な絵本を読んでみませんか。あの頃の『子どもの目線』を思い出すヒントが、たくさん詰まっているはずです。
※このコーナーは、隔月のシリーズで掲載しています。これを手がかりに、家庭で人権・同和問題について話し合ってみましょう。
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