▽男女別
(5)岩﨑さん
以前に比べると相談窓口ができるなど支援環境は少しずつ整ってきていて、佐賀県内では『パートナーシップ宣誓制度』が始まっています。しかし、宣誓制度による効果は、公営住宅の入居申し込みや医療機関での面会、手術同意などに限定されていて、もっと利用できるサービスが増えていく必要があると感じています。ほかに課題だと感じていることはありますか。
(2)川原さん
どうしても年配の男性は固定的な役割分担意識を持った人が多く、意識が変わっていきません。ただ、若い人たちの間では、多様性の尊重が進んでいるように感じます。
(4)平野さん
さまざまな書類の中で、性別にチェックをするものが多いように感じます。
(3)水島さん
オリンピック競技は男性・女性が一緒にはならないですね。
(1)吉岡さん
性別欄については、不要なものは無くしていく傾向にあります。ただ、性別を問うときに、先に『男性』の選択肢がくることが多く『女性』が先でよいし、本当に性別を問わなければならないのか見直しが必要だと思います。
それと、スポーツに関しては『男女別』が根強く残っていて難しいですね。オリンピック競技で話題になりましたが、トランスジェンダー選手は性自認で出場することができます。しかし、以前は性自認が女性のトランス女性選手の場合には男性ホルモンが基準になっていて、一定以下でないと『女性枠』で出られず『性別適合手術』をしていることが条件にありました。今後さらに見直されていく可能性があります。
オリンピックも、種目を細かくクラス分けできていけれれば良いのかもしれません。
(5)岩﨑さん
いま、子どもが少年野球をしていて、今度、名称を変更することになり、その話し合いをしているのですが、候補に挙がる名称の最後には、メンバーの中に女の子がいるのに『少年野球』が必ずつきます。今まで意識したことはなかったですが、『身近なところで実態と合っていないこと』は、意外と多くあると思います。
(1)吉岡さん
もはや『男女別』と考えることがそぐわないのではないでしょうか。性の多様性に適した名称を選択した方が良いと思います。
(2)川原さん
私たちが子どもの頃は「男の子でしょ」「女の子でしょ」と言われながら育ってきました。
(1)吉岡さん
世間は、どうしても性役割としてのジェンダーを押しつけてしまいます。例えば、足を開いて座っている女の子がいれば、あえて「女の子なんだから」と言う必要はないですが、やはり「女の子なんだから足を閉じなさい」と言ってしまいますし、男女が同じように足を開いて座っていたとしても、女の子だけ注意されます。そのような経験からジェンダーが刷り込まれてしまいます。
(4)平野さん
息子と娘が同じ言葉を使っていても、つい娘には「男っぽいからやめて」「もう少し女らしく」と言ってしまいます。
▽カミングアウトされたら
(3)水島さん
年頃の娘がいますが、もし娘がカミングアウトしたらと想像すると、本来は受け入れるべきなんでしょうけど、つい「孫の顔をみてみたい」と思ってしまいます。
(5)岩﨑さん
「もし自分の子どもが」と考えると、認めようとしつつも、どこか引っかかってしまうのではないでしょうか。吉岡先生は、親としての受け止め方について相談を受けたことはありますか。
(1)吉岡さん
非異性愛者の多くにとって、孫の問題は深刻です。親が悲しむことが分かるので打ち明けられません。でも、孫のために結婚する訳ではないですよね。男女間のカップルでも結婚しても子どもができない人だっていますし、親のために人生があるわけではありません。当事者は自分の人生を自分らしく生きるべきだと思います。
家族にさえ、あるいは家族だからこそ打ち明けられない当事者には相談先があることが望ましいですね。
都市部だと、支援団体などがありますので当事者同士で相談し合うことができますが、田舎だと孤立しがちです。
(4)平野さん
子どもたちが打ち明けやすくするためには、どうしたらいいのでしょうか。
(5)岩﨑さん
カミングアウトした後は危険だと聞きました。
(1)吉岡さん
当事者の相談内容を、本人に無断で暴露する『アウティング』に注意しましょう。ふだんからの取り組みとして研修を受けたり本を読んだりするなどして、理解を進める機会が保護者の世代にあれば良いと思います。手元に本を置いておくなどの姿勢が見えれば、当事者も親に打ち明けやすくなりますし、親としても知識があるのと無いのとでは受け止め方が違います。
(5)岩﨑さん
私たち大人がもっと意識を高めていかなければなりません。関心を持ってもらうためには、情報発信が必要ですし、今後は、市民向けの講演会や学習会の機会を増やしていきます。
問合先:企画政策課男女協働推進係
【電話】23-2115
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