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自治体の皆さまへ

《特集》バリアなしの、本のある広場に(1)

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佐賀県伊万里市

2019年に、障がいのあるなしにかかわらず、すべての人がひとしく読書を通じて文化的な生活ができる社会をめざす、通称『読書バリアフリー法』が制定されたことをきっかけに、各地の図書館でさまざまな取り組みが行われています。
伊万里市民図書館では、平成7年の開館当初から障がいのある人の利用を想定して、施設・設備の設計や家具の製作が行われていたことから、だれもが使いやすい工夫が至る所に見受けられます。
しかし、開館して約30年が経過し、読書や図書館の利用が難しい人たちの理由も多様化してきました。そこで、視覚や聴覚の障がいに限らず、肢体不自由や発達障害、移動手段などによる読書のバリア(障壁)に対応した『合理的配慮』が必要です。さらに近年は、技術の進歩により、そういった人たちの読書を支援する機器や、読みやすく・聴きやすく配慮された資料も多く出回るようになりました。図書館として必要な『もの』をそろえて、だれでも利用できるようにする必要があります。
これらのサービスの充実は、何も障がいのある人だけのためではありません。『だれにとっても読みやすい資料が、使いやすい形で利用できる』。そんなやさしい場所をめざして、市民図書館は動き出しています。

■市民図書館バリアフリーの取り組み
平成7年に開館した市民図書館は、約30年前からバリアフリーの視点を持って設計された施設です。
ここでは、バリアフリーになっている場所などを紹介します。
(1)駐車場には障がい者用のスペースがあり、そこから玄関までの距離が近く、傾斜がほとんどありません。
(2)建物の中に入ると、2階と3階にある書庫以外は段差がなく、車いすでもスムーズに移動ができます。また、2階や3階に上がるときはエレベーターが使えます。
(3)開架室は天井が高くなっていますが、本棚は145センチとやや低くなっています。これは、車いすに乗ったままで上の棚に手が届くように設計されているもので、いちばん下の棚は手前側が斜めに浮き上がっています。これも車いすに乗ったまま本を取ろうとしたときの負担を減らす工夫です。さらに、本棚の間隔も広くなっていて、車いすでも安心して通ることができます。
(4)窓口はデスク方式で、職員もいすに座って対応しています。視線を合わせられるので、手続きのときにも気軽に話しかけることができます。

■利用者にインタビュー
市民図書館の利用者で車いすユーザーの山口照子さんに、市民図書館を利用してみて感じたことなどを尋ねました。

Q:図書館のどのような点が利用しやすいと考えますか
障がい者用の駐車場から車いすに乗って玄関を入り、窓口の前に行くまでに段差がなく、出入口はすべて自動ドアになっていて困ることがありません。
また、駐車場は屋根があるので、雨の日でも濡れずに済みます。それに館内は段差がないので『こどものコーナー』に絵本を探しに行くときなどに助かっています。

Q:使ってみて良かったと思える場所はどこですか
障がい者用のトイレが男女別になっているのはいいですね。
また、本棚と本棚の間も広くて動きやすいですし、上の方も下の方も自由に本が取れるので、気兼ねなく自分で選ぶことができます。
それと、いつも職員から積極的に声をかけてもらえることも嬉しいです。窓口でも気軽に話ができるので、本について詳しく調べてもらっています。

Q:おすすめする図書館のポイントはどこですか
館内のいろいろな場所で企画されている『テーマ展示』を見るのが好きです。至る所に特定のテーマで本が程よい高さに並んでいるので、回って眺めるだけでも十分に楽しめます。
さらに、単におすすめの本が置いてあるだけでなく、飾り付けが工夫してあったり追加の情報が貼ってあったりと、宝探しみたいで楽しくなります。
自分の知らない事柄に出合えたときには感動しますね。

■あなたの『読みたい』を助けます
市民図書館は、だれもが読書できるようにバリアフリー資料を用意しています。
ここでは、皆さんの『読みたい』を助けてくれるバリアフリー資料などを紹介します。

▽書いてあることがわからない『LLブック』
『LL』はスウェーデン語『LättLäst』(やさしくわかりやすい)の略で、わかりやすい言葉、写真・絵入り、絵記号など、だれでもやさしくよめる本です

▽文字が小さくて読みづらい『大活字本』
大きな文字(14〜22ポイント)で書かれた本です

▽読みづらい?見えづらい?『オーディオブック』
オーディオブックは本を朗読する『聴く本』です。図書館では小説だけでなくハウツー本や『広報伊万里』のCD・カセットテープもあります

▽どんな年齢も『布の絵本、さわる絵本』
フェルトやボタン、ひもなどを使って作られた絵本で『みて』『さわって』楽しむことができます

▽見えにくい、見えない『点字図書』
点字に翻訳(点訳)された本です。手で触って文字を読みます

▽いろいろなタイトルの本をよみたい
佐賀県立視覚障害者情報・交流センター『あいさが』と連携していて『あいさが』所蔵の資料を市民図書館で借りられるサービスがあります

▽一行ずつ読みやすく!『リーディングトラッカー』
ページの読みたい行にあてると、視点を集中させて読むことができます

▽この本を読んでほしい『対面朗読サービス』
市民図書館で活動しているボランティアグループ『対面朗読草ひばり』が読みたい本や雑誌を代読してくれます

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