■みんなが暮らしやすく
今から50年ほど前、地方のテレビ局で、日本で初めてとなる手話通訳つきの番組が放送されました。「多くの人にテレビを楽しんでもらいたい」という制作者の願いは、聴覚に障がいがある人と対話を重ね、工夫が加えられ、全国のテレビ局へと広がりました。現在は、音声に字幕がついた番組や、画面解説の副音声がついた番組もあります。手話通訳と字幕が同時に流れる番組も増えてきました。歩みは今も続いています。
私たちが暮らす社会には、普通に暮らすことを妨げるさまざまな『壁』があります。例えば、一見あたりまえに思えるテレビ画面にも、聴覚や視覚に障がいがある人、加齢や病気でその機能が低下した人にとっては、情報伝達を妨げる大きな壁があるのです。
壁は、見ようとしなければ見えません。『壁が見えないこと』と『壁が無いこと』とは違います。壁に気づき、無くすためには、不便さを感じている人との対話が必要です。
「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という言葉が示すように、個人の意思は尊重されなければいけません。しかし、現実には「申し訳ない」「迷惑がられるのでは」という思いから、不便さを感じている人が声を上げられないことがあります。
そんな時には、周りの人の『気づける心』と、行動するための『少しの勇気』が大切です。そのためには、相手の気持ちを自分に重ねて考える『想像力』が必要です。
この相手を想う想像力が、壁を無くす近道になり、やがてその道が、自分を含むすべての人が「暮らしやすい」と感じる社会へとつながっていくのではないでしょうか。
※このコーナーは、隔月のシリーズで掲載しています。これを手がかりに、家庭で人権・同和問題について話し合ってみましょう。
問合先:生涯学習課人権・同和教育係
【電話】23-3186
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